各地を回り出会う同志たち　変わらない｢祖国、同胞のため｣（商工連会長・朴忠佑さん）

東京・中野にて(2019・４)

在日本朝鮮人商工連合会会長
朴忠佑さん

プロフィール

• 1950年３月　川崎で生まれる
• 1972年３月　朝鮮大学校　政治経済学部卒
• 2006～2010年　朝鮮大学校連合同窓会会長
• 2016年から現職

五〇～六〇人の代表団で
祖国訪問予定

金淑子最高人民会議代議員当選、お祝いします。
朴忠佑ありがとう。息子たちに｢ハラボジが生きていらしたら、どれほど喜ばれただろう｣と言われて、胸が熱くなったよ。三月二六日が誕生日なんだけど、子どもたちが誕生会してくれてね、そこでも祝ってくれて、背広をプレゼントしてくれた。
ハノイでの朝米首脳会談の前に話があって、会談はうまくいくだろうと、そうすれば制裁も解除されるかもしれないし、いずれよくなるだろうと思っていたんだよね。いろいろあるね。ウリナラに行けなくなったとか、そういうことはあまり考えないようにしている。去年、制裁対象の裵益柱副議長(当時)が平昌オリンピックに行けた例もあるので、条件によって変わる。海外にはこれまでも散々行ってきたし、去年もシンガポールに行ってきたしね。

金商工連合会の会長にはいつ就任されたのですか？

朴三年前。それまでは総連の全体大会の年に体制を新しくしていたけれど、四年は長すぎるということで、商工連合会では、二年に一度、定期大会をすることにした。だから今、二期目ということになる。今年は拡大理事会があって、来年は定期大会がある。

金自営業の同胞が少なくなっています。そういう中で商工会は具体的にどんな活動をしているのですか？

朴昔からやっているのは、税務、経理。でもこれだけではダメなんだよね、経営をサポートしなくては。商工連には、建設、飲食、遊技の三つの部会があって、情報交換したり、勉強したりする場を設けている。ただ商売やる人が少ない。起業を勧めるけれど、リスクが大きいし、それでなくても景気は良くないし、現実的にはなかなか難しい。税金、人材、資金、社会保険などをトータルでサポートしていこうということなんだけど、でも根本的に商売すれば金儲けできるかというと、結局は本人の努力と嗅覚なんだよね。
毎年、異業種懇談会をやっている。関東や関西の地方別の会と全国規模の会を一年ごとに交互にね。今年は一一月に京都で、全国規模で実施する。いつも五〇〇人くらい集まる。基本的に五〇代、会長になる前の副会長、副理事長の世代が集まって情報交換したりして親交を深めようという集まりで、一昨年の全国の会は福岡だった。六月八日には上野で拡大理事会を開くが、ここにも一五〇人から二百人ほど集まる。

金三世、四世になって在日朝鮮人の商工会ではなくて、地域にある日本の商工会に入っているケースも多いのではないですか？

朴それはあまりいないね。例えばうちの息子が東京の青商会の会長をしていて、去年の一〇月にＴＯＨＯシネマズ新宿の前で地元の日本の商工会議所とコラボして三日間くらいイベントをやった。日本の商工会とは普段から親しくしているけれども、朝鮮人はいないね。総連系の青商会か、民団系の商工会で、日本の商工会に入っているというのは聞かないね。

金今年特に商工連で力を入れていることは？

朴二つの課題、政治と経済。在日本朝鮮人商工会が　商工会らしく同胞の商業活動をサポートできるようにするということだ。今年初めに㈱レイルコンサルティングという外郭会社を出した。相続、事業承継などの実務を主に担う。同胞商工人も三世、四世が中心になって、継承が切実な問題になっている。それに対処した。

金政治的課題というのは？

朴代表団だね。今年九月に朝鮮に大規模訪問団を予定している。私が二〇一二年に商工会代表団で行ったときは八～九人だった。今回は五〇～六〇人を見込んでいる。朝鮮半島で、平和が確保されて統一が指向され、アメリカとの関係が改善されれば、とてつもない可能性が生まれる。同胞商工人の間でもいろんな話が出ている。過去のように朝鮮に投資するということはもうできないが。リスクもあるけどリターンもある、法的基盤もあって、配当もあるということをきれいにしたうえで、祖国に寄与したいと思っている同胞が大勢いる。この間も専門家を呼んで勉強会をした。二回目もやる予定だ。
去年一一月一五～一八日に世界韓人商工人総連合会(世総)所属の海外の朝鮮人商工人たち九七人が、平壌に行って、現場査察とか関係者との協議を通じて投資の機会を模索したって｢聨合ニュース｣が報じていた。いろんな投資の話があったらしいけど、そのあと現実味のある話はないんだよね。在日同胞はずっと共和国を支持してきたから、中国や米国の同胞たちとは朝鮮側の接し方が違うようだ。九月に向こうの関係者と会って、みんなで相談してやりましょうということになっている。