現地リポート:オモニ代表団・ジュネーブで 「無償化」適用訴える
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1・16-国連子どもの権利委員会対日本審査(1月16~17日)に参加するため、「国連朝鮮学校学生・オモニ代表団」がスイス・ジュネーブに向け出発。
各地のオモニ代表と朝鮮大学校代表、計7名で構成された代表団は高校無償化実現に対し国際的な世論を高め、朝鮮学校にも無償化制度を適用することを求める勧告が出るよう働きかけるため、現地で対日本審査を傍聴し子どもの権利委員会委員たちに対するロビー活動を行う予定(在日本朝鮮民主女性同盟>>>fb1・16)
2・7-国連・子どもの権利委員会、スイスのジュネーブで記者会見し、1月16~17日にかけて行なった対日審査結果として「総括所見」(CRC/C/JPN/CO/4-5)を公表。日本政府に5回目の勧告。(厳廣子>>>fb2・8)
39.(c)「〔高校〕授業料無償化制度」の朝鮮学校への適用を促進するために基準を見直すとともに、大学・短期大学入試へのアクセスに関して差別が行なわれないことを確保すること」
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参観記・朝鮮学校オモニ会の国連訪問
リンダ・モ 「統一ニュース」ジュネーブ通信員
*同紙(1・24)より転載。原題は「植民時代から朝鮮人に対する差別政策露骨化」
透明人間のように、日本社会で要求しなければ何一つできないというとんでもない切羽詰まった状況で日本に住む在日同胞たち、彼らが一一月[二〇一八年]、無償化実現に対する国際的な世論を高めて、無償化制度の適用を実現するために「朝鮮学校オモニ代表団」をジュネーブに送るというポスターを見た。
このポスターがSNSを通じて全世界の海外同胞に広がり、ウリハッキョ市民の会が主管した国連子どもの権利委員会に参加する代表団への支持を表明する署名に、わずか四日で、国内、海外同胞から四七六の団体と一六四一人の個人が賛同した。
国連子どもの権利委員会日本審議会では、二〇一三年以降、国連の勧告を無視して実行されなかった「朝鮮学校への教育支援金凍結と高校無償化排除」という二重の差別に対して、直接委員に自分たちの悔しさをアピールするために朝鮮学校オモニ会会員四人、朝鮮大学校在学生と卒業生四人とともに、韓国で活動する「ウリハッキョと子どもたちを守る市民の会」孫美姫代表とイ・ウニョン運営委員、「日本のウリハッキョを守る在外同胞の会」リンダ・モ、「朝鮮学校市民の会」のキム・ジウン監督らが各団体からの熱い関心とともに参加した。海外の韓国人のマスコミ・JNC報道は、全期間密着取材した。
一六日[二〇一九年一月]、国連人権委の建物入り口で会った朝鮮学校代表団と海外同胞たちは、一目で互いの意志を確認して親しく握手した。
名刺を交換して互いの紹介を終えた後、子どもの権利委員会初日の日程と、日本と海外で準備してきた互いの宣伝物で委員会参加に対する意志を再確認し、初対面の緊張を解いた。
S.P.Ring世界市民連帯、民主ハム・ソッコン思想研究会、在日本ウリハッキョを守る海外同胞の会などを通じて、「朝鮮学校オモニ代表団」を国連子どもの権利委員会に送ろうというキャンペーンに遅ればせながら賛同したカンパを現場で伝えた。
海外でこのように同胞に会えるうれしさはひときわで、自分たちの教育支援金闘争を共に支持してくれる海外同胞から大きな力を得ると、涙を浮かべる彼らに熱い同胞愛を感じた。
日本の審議会に参加する多くのNGO団体の中には、朝鮮学校訪問団に親しみを示す団体もあったが、チマチョゴリを着て目立つ訪問団を横目で冷たく見下す日本の右翼団体に出会い、在日同胞の暮らしが平坦で無いことを、彼らの闘争がいかに切迫したものなのかを実感した。
一六日、子どもの権利に関する協約によって創設された国連傘下の人権機構である「子どもの権利委員会」日本審議会が始まり、これまで子どもの権利委員会に告発された多くの質問が日本政府に向けられた。
南アフリカのAnn Maria Skelton委員の、これまで国連が日本政府に伝えた勧告事項の中で法律的な条項はのぞいて、実際に実行されたことと、どのくらいの進展があったかについて答を求めるという趣旨の質問に、もしかしてという期待を持った。日本官僚の答を一言も聞き逃がすまいと緊張した。ところが朝鮮学校に対する質問への答は翌日に先送りされ、審議会は終わった。
一七日、前の日に持ち越された朝鮮学校に対する教育支援金と高校無償化排除に対する日本文部科学省担当者の答は,朝鮮学校が日本の法令が定めた審査基準を通過しなかった、生徒の国籍を理由に差別した結果ではなく,法律による資格条件が満たされれば無償化支援を受けられると答えた。
この数年間、法律を変えて支援金を削除し,中断してきた原因に関する説明はなく、国籍に対する差別はない、支援金に対する規程に合えば支援は可能だと、儀礼的な簡単答弁で自らの責任を避けた。オモニ代表団はもちろん、海外から参加した同胞は彼らのダブルスタンダードに憤った。
審議会が終わった後、Ms. Renate Winter委員長と代表団との話合いの席[写真下]で、在日朝鮮学校代表団とウリハッキョ市民の会の孫美姫代表が、現在の朝鮮学校は日本の植民地時代に住むことになった祖父母が建てた在日朝鮮人の子どもたちの民族教育の為の学校だと強調し、これまで政策的に教育支援から除外されてきた生徒たちの、差別に対する闘争と意志を込めた映像を見せて自分たちの立場を伝えた。
Ms. Renate Winterに、北と日本との外交問題を口実に朝鮮学校に対する教育支援金が中断されたことに対して、日本の学界や弁護士協会が何度も、日本文科省の政策は違憲な差別政策だと明らかにしてきた資料を提示し、説明できなかったことが残念だった。
二〇一二年に日本文科省は、七〇年代にあった日本人拉致問題を理由に各地方自治体に朝鮮学校に対する補助金支給を再考するよう通報を出し、多くの市町村、都道府県が補助金支給を凍結させた。
これに対して東京の弁護士会は二〇一六年四月二二日に、国家的な外交問題を理由にした朝鮮学校に対する補助金不支給は、青少年の学ぶ権利を侵害する不法な行為であり、憲法違反だと指摘している。また二〇一六年三月一四日に大阪弁護士会は「特定の外国人学校に対する補助金停止に反対する会長声明」を発表し、二〇一六年七月二九日には日本弁護士連合会が「朝鮮学校に対する補助金停止に反対する会長声明」をそれぞれ発表している。
このように弁護士協会の声明には、安倍政府が、外交問題を理由に朝鮮学校に対する補助金凍結を促すことは,朝鮮学校生徒に対する重大な人権侵害であり、不当な差別を助長する。日本憲法の平等精神と学習権に違反し、教育基本法にも抵触する。また日本も批准した国際人権規約や人種差別撤廃条約および子どもの権利条約が禁止している差別に該当する。従って安倍政府は、地方自治体に教育支援金不支給を促すべきではないとし、各地方自治制度が青少年教育に対する補助金支給法や条約の趣旨に沿って運営するよう明示している。また二〇一七年二月一日、大阪地方裁判所が朝鮮学校補助金凍結を認める判決を下したことに対して研究者や学者の抗議もあった。
大阪府は一九七四年以降四十年間、大阪市は一九九〇年以降二〇年間、朝鮮学校に補助金を支給してきたが、二〇一〇年に極右の橋下知事の指示で地方自治体法令を超えて教育内容に対する干渉が始まった。その後各県の地方自治体はもちろん、人権擁護者になるべき司法までもが排外主義を認め法廷が人権差別的な判決を続けている。このような決定は北と日本の関係悪化を口実に朝鮮学校だけを標的にした、過去の植民地時代からの朝鮮人に対する差別政策を露骨化したものだ。
このような朝鮮学校に対する差別政策は、在日朝鮮人を日本社会から排除してもいいという朝鮮人排外主義を、日本右翼の閉鎖主義が示す非理性的な形態を、国家が助長、扇動したもので、極めて深刻な状況だ。
世界で最も強い人の名は「オンマ」ではないだろうか? 自分の子どもの教育のためには、何を差し置いても、いかなる代価を払ってでも闘う。子どもが安全で、健康で、希望を実現していくことを願う。特に在日朝鮮人の母親たちは自分たちの親たちがいかに熾烈に家族を守るために闘ってきたかをよく知る目撃者でもある。
日本に暮らす彼らは、理由のない差別に耐えて生きるつもりはない。在日朝鮮人三世は彼らの子どものために闘い、四世は自分たちの学びと未来のために闘う。54