朝鮮学校の良さ発信して連帯広げ、世論で敗訴覆そう

モアパレード(写真左＝2017・5・17)

朝鮮高級学校無償化を求める連絡会・大阪事務局長
長崎由美子さん

プロフィール

• 1956年４月　静岡県清水市生まれ
• 1980年　日本福祉大卒
• 1982年　大阪市生野区に転居　聖和社会館職員
• 1984年　大阪聖和保育園保育士
• 現在　発達障がいの子どもたちの支援センター職員

無償化闘争について
三二〇回の火曜日行動
育まれる連帯

金火曜日行動について伺おうと思います。現在、何年目になりますか？

長崎もう六年を超えました。無償化連絡会大阪が呼びかけて二〇一二年の四月一七日から始まって、前回で三一九回だったと思います。お盆とお正月の二回は休むんですが、初期のころ在特会の妨害があって一度休んだのと、台風の警報が出て休んだ以外は年に五十回、毎週続けています。

金いつも来られる方は何人くらい？

長崎レギュラーで来られる方は、大体三十人前後ですかね。

金そこに、その日によって生徒やオモニ会の方が参加したりするのですね。

長崎そうです。学校ごとに今日は○○初級学校のオモニたちというふうに順番を決めて来られる方、当番じゃなくても、自由意思で来られる方。あとフェイスブックを見て来られる方、たまたま大阪に来ていたので参加される方、沖縄の辺野古の問題に取り組んでいらっしゃる方とか。あとヘイトスピーチへのカウンター行動をされていた方が、カウンター行動する中で朝鮮学校が置かれている状況を知って｢自分もできるときは｣と、来てくださったり。

金三百二十回近く続けながら、とくに印象に残っている回は？

長崎韓国から金福童ハルモニが、橋下知事の｢慰安婦は必要だった｣という発言があったときに、それに対する抗議も兼ねて来られました。暑い時でしたけれども、マイクを持って｢戦争で青春を奪われ、学べなかった。それを在日の子どもたちに繰り返してほしくない｣とおっしゃったのは印象に残っています。二〇一二年の夏だったと思います。そのあと、生野初級学校も訪問されて、子どもたちにプレゼントをくださったりして。先日も裁判の敗訴の日に来て、台風で被害を受けた朝鮮学校への支援ということで二七〇万円を集めて手渡してくださって。｢私も水曜デモで闘い続けているから、皆さんもがんばって闘いましょう｣｢ファイティング！｣と言ってくださいました。

金三二〇回は簡単な数字ではないと思います。

長崎本当は早く辞めたい闘いなんです。こんな当たり前のことをいつまでもしなければならないのかと。政治が変わらないと成果が見えないので、ある意味、失望とか、あきらめが募ってくるという部分もあります。

一番つらいのは子どもたちのことです。朝鮮学校の子どもたちが来てくれて、歌を披露してくれたり、ビラを配ったりしてくれるんですが、子どもたちがしているからと温かい言葉をかけてくれたりする人もいるんですが、逆に子どもたちを路傍の石を見るように、突きのけるように通っていくとか、ビラを渡してもそれを捨てて見せたりする人がいます。それが一番つらいのです。

でも火曜日行動を続ける中で、財産だなと思うこともあります。朝鮮学校を卒業して総連で活動してこられた方の中には、日本の友人と深い話をしたことが、これまでなかったという方が多いんですね。日本人の多い中に数少ない在日朝鮮人の方が住んでいれば、交流もあるのでしょうが、大阪は地域によって在日朝鮮人の方が多いので。最初は｢日本人がどうして朝鮮学校の問題に取り組むのか？｣と思っていた方も、語り合う中で、自分たちの国をよくする、暮らしよい街を作って平和を守っていくために朝鮮学校を鏡として、自分たちの問題として取り組む日本人がいるんだということを知ってくださる。お互いに閉じていた心が開いて、本音で語り合って信頼が生まれる。

火曜日バンド(２０１５・11・11)

今、安倍政権がしようとしているのは、偏見と不信を生んで、お互いに手をつなぎあうことを断ち切っていくことだと思います。ところが火曜日行動では、朝鮮学校の方だけではない、例えば苦しんでいる性的少数者とか、沖縄の人とか、労働組合として正当な声を上げてひどい目にあっている人がいることを知って、人間らしさを奪われるというところでつながっているのだと感じることができます。そうして毎週会うと、今週もこの人が来てくれたとほっとする、あの人はどうしているんだろうというつながりができる。大変だけど、火曜日行動に行くと仲間に会えるという。

行動ではなるべく、糾弾型、紋切り型の｢～を許すな｣というような訴え方ではなくて、通る人の耳に入るように、周りと目線を合わせて、｢あなたの子どもがこんな目にあったらどういうふうに感じますか？｣というような生活の中で出る言葉でアピールするようにしています。私たちは生きた人間であって、悲しみや痛みや、喜びを感じながら生きているんですよということが伝わるような語りにしています。火曜日バンドがいて歌もうたってくれるので、それぞれがパフォーマンスしながら楽しく、長くへこたれないでやっているのがいいのかなと思っています。

金火曜日の一二時から一時までですか？

長崎そうです。

金つづける過程で、この時期から少し変わったなと感じたりすることはありましたか？

長崎最初始めたころは、いろんな方が来ているというよりは朝鮮学校の関係者と私たち朝鮮学校を支える会のメンバーが多かったのですが、だんだんと｢慰安婦｣問題に取り組んでこられた方とかヘイトスピーチへのカウンター活動をされている方とかが定期的に来て下さるようになりました。やはりフェイスブックの力は大きいと思うのは、ほかの地域から火曜日行動頑張ってくださいと、贈り物を送って励ましてくださったり、広がりが生まれて変わってきたなと思います。