ソウル発・日本大使館前で180回目の「金曜行動」
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記事と写真:キム・チグァン「統一ニュース」(8・10)
ソウル発「統一ニュース」(2018・8・10)からの転載。原題は「森本氏『怒りと恥かしさと嘆かわしさを感じる』 第一八〇回金曜行動、安倍政権糾弾一一一〇人国際宣言発表(全文)」。訳とタイトル、[ ]内は整理者による。
「一九四八年には、日本政府が在日同胞の民族教育を大々的に弾圧し、ついに少年を死亡させた「阪神教育闘争」が発生した。七〇年が過ぎた今日も、日本政府の在日同胞弾圧は続いている」
記事と写真 キム・チグァン「統一ニュース」(8・10)国内はもちろん、海外同胞まで第一次として一一一〇人が署名した「在日同胞と朝鮮学校を弾圧する安倍政権糾弾国際宣言」が一〇日[八月]昼一二時、ソウル栗谷路日本大使館前で「ウリハッキョと子どもたちを守る市民の会」(市民の会)が開催した「第一八〇回金曜行動」で、記者会見形式で発表された。
参加者は、チョン・ヨンイ全女農事務総長が朗読した「在日同胞と朝鮮学校を弾圧する日本政府を糾弾する」というタイトルの国際宣言で「植民地支配に対する謝罪はおろか、在日同胞と朝鮮学校を露骨に弾圧する日本政府を強く糾弾する」と四つの要求事項を発表した。
- 日本政府は、植民地支配を謝罪せよ!
- 対北敵対政策と独自制裁即刻撤回せよ!
- 在日同胞に対する弾圧を即刻中断せよ!
- 朝鮮学校にも高校無償化制度を適用せよ!
司会を務めたチョ・ウォンホ市民の会企画委員長は「国際宣言に参加された方は、合計一一一〇人である。ここに、日本、米国、ドイツ、カナダ、オーストラリアにいる同胞が心を合わせた」と紹介し、「二次、三次ずっと続く予定だ」と明らかにした。
市民の会共同代表チョン・テヒョ牧師は開会辞で「ブラジル学校まで支援するのに、私たち朝鮮学校の子どもたちだけ高校無償を許していないことについて、子どもたちに正当に高校無償化を適用しろという話だ」とし「日本が高校無償化政策を行うまで、そしてまた、日本が植民地政策を謝罪するまで。そして、これ以上ヘイトスピーチや、これ以上多くの日本に行っている人が虐待されず糾弾されないような人間らしい世の中に生きることができるまで、私たちは一緒にする」と述べた。
森本孝子高校無償化連絡会(「高校無償化」からの朝鮮学校排除に反対する連絡会)事務局員は「この場に今立っていながら、非常に恥ずかしい。それは、日本政府が過去の植民地時代に対する謝罪も、反省もないどころか、まだ在日コリアンの方々に差別政策をとっているからだ」と話し始めた後、「すでに高校無償化が八年間になったにもかかわらず、外国人学校四三校あるにもかかわらず、ただ朝鮮学校だけが除外されている。私は本当にこのような排他的で植民地的なこのような行動に怒りと恥ずかしさと嘆かわしさを感じる」と心境を述べた。
この日、第一八〇回金曜行動には8・15行事に出席するため訪韓した日韓民衆連帯ネットワーク渡辺健樹代表などが席を共にし、日韓民衆連帯全国ネットワーク加藤正姫氏が通訳を担当した。
森本事務局員は「日本の文部科学省の前でも金曜行動が、午後四時から一時間にわたって行なわれる。ここには、朝鮮大学校の学生、朝鮮学校の高校生、日本人の支援者が参加しているすが、すでに三〇〇回を超えた」と紹介し、「国連の人種差別撤廃委員会ですでに日本政府は、差別を是正するよう勧告を受けている」と指摘、「差別政策を進める安倍政権が日朝協議をするというが、そのような会談を行う資格もない。安倍はすぐに退陣せよ」と叫んだ。
一九三〇年代曽祖父の世代が済州島から日本に渡って定着した、在日同胞リャン・デリュン氏は「在日同胞三世だが、上手でなくてもこのように民族の言葉を話すことができるのはなぜなのか」と反問し、「日本には幼稚園から大学まで在日同胞学校がある。朝鮮総連の学校がある。私は幼稚園から大学まで通ったので、これくらい、話ができる」と述べた。
リャン・デリュン氏は、「今の時代は多く変化しているが、新しい時代、新しい歴史の流れに沿って、私たちの民族の財産として、北東アジアの新たな歴史に沿って、朝鮮学校を見なければならない」とし「今後、弾圧、差別がなくなって、より良い世界が作成されるまで共に力を合わせていこうと思う」と語った。
記者会見を終えた代表たちは、国際宣言を日本大使館側に伝えようとしたが、警察が防げて伝達できなかった。日本大使館側は事前協議がなかったという点を挙げて受付を拒否した。記者会見の参加者たちは「日本大使出てこい」などを叫び、次回は、事前協議を経て、伝達するとして締めくくった。
先に、チョン・テヒョ共同代表は、開会辞において「私たちは、三回も本大使館に、私たちの署名を受けて、私たちの目的を伝えようとしたが、受けいれられなかった。そして郵送しろというので、郵送したにもかかわらず、いまだに答えを聞いていない」とし「今日も私たちは伝えようとした。そしてこれからも継続する」と述べた。
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資料・在日同胞と朝鮮学校を弾圧する安倍政権糾弾国際宣言(全文)
在日同胞と朝鮮学校を弾圧する日本政府を糾弾する
一九四八年、日本政府が在日同胞の民族教育を大々的に弾圧し、ついに少年を死亡させた「阪神教育闘争」が発生して七〇年が過ぎた今日も、日本政府の在日同胞弾圧は続いている。
日本政府は、国内のすべての高校に適用する「高校無償化」制度から唯一、朝鮮学校だけを排除し、平等に教育を受ける権利がある子どもを対象に、差別的措置を強行した。それに応じて、いくつかの自治体は、これまで支給した教育補助金さえ中断し、初級、中級学校まで財政的圧力をかけている。
また、日本政府が課した対朝鮮独自制裁のために、在日同胞は北側にいる家族、親戚とまっとうな往来、物資交換さえ遮断される被害を被っている。この間、北に修学旅行に行ってきた朝鮮学校高級部の子どもたちの修学旅行のお土産を日本の税関が全部押収した事態が発生した。禁止品目や危険物ではなく、個人の物品も没収していく日本政府の反人権的行動に驚愕を禁じえない。
朝鮮学校は日本の植民地支配時代、強制的に日本に連れて行かれ定着するようになった私たちの同胞が「朝鮮人は、朝鮮語を学ばなければならない」という当然の道理で設立した民族教育機関であり、在日同胞は、日本政府からの保護を受ける権利がある日本社会の構成員である。
しかし、日本政府が加える露骨な差別政策は、右翼団体のヘイトスピーチと在日同胞の建物に対する銃乱射などの衝撃的な暴力行為につながり、在日同胞をヘイトクライムの対象に追いやっている。
植民地支配に対する謝罪はおろか、在日同胞と朝鮮学校を露骨に弾圧する日本政府を強く糾弾する。私たちは、同胞の正当な権利のために最後まで連帯して戦っていくことを宣言し、次のように要求する。
一.日本政府は、植民地支配を謝罪せよ!
一.言葉だけで日朝関係の改善、日朝首脳会談を云々せず、朝鮮敵対政策と独自制裁を即刻撤回せよ!
一.在日同胞に対する弾圧を即刻中断せよ!
一.朝鮮学校にも高校無償化制度を適用しろ!
二〇一八年八月一〇日
*在日同胞と朝鮮学校を弾圧する安倍政権糾弾国際宣言(一次-一一一〇人)51
資料 「高校無償化」からの朝鮮学校排除に反対する連絡会の要請書
2018年9月
内閣総理大臣 安倍晋三様
文部科学大臣 林芳正様
外務大臣 河野太郎様
人種差別撤廃委員会からの勧告に従い、「高校無償化」制度(高等学校等就学支援金制度)からの朝鮮学校排除の撤回等を求める要請書
「高校無償化」からの朝鮮学校排除に反対する連絡会
去る8月30日、国連・人種差別撤廃委員会は日本政府報告書の審査の結果として出した総括所見において、「…委員会は、朝鮮人生徒たちが差別なく平等な教育機会を持つことを確保するため、高校就学支援金制度の支援金支給において『朝鮮学校』が差別されないことを締約国が確保するという前回の勧告を再度表明する…」(パラグラフ22)とする勧告を出しました。また、この勧告の「…特別の重要性について締約国の注意を喚起し、締約国がこれらを実行するために取った具体的な措置について次回の定期報告書において詳細な情報を提供するよう締約国に要請する」(パラグラフ47)としてその是正のための具体的措置を強く求めています。
なお、同総括所見には、「委員会は、前回の総括所見からのいくつかの勧告が実施されないままであることを懸念する」(パラグラフ5)とし、「委員会は締約国が今回及び前回の総括所見に含まれる勧告の実施を確保するよう勧告する」(パラグラフ6)としています。朝鮮学校に関しては、前回、2014年の審査においても、「高校無償化」問題と補助金を凍結、削減している自治体の問題に関して是正勧告がなされていることを指摘しておきます。今回の勧告に至る審査過程においては、3人の委員が朝鮮学校への差別に言及、日本政府代表団が「審査基準に適合すると認めるに至らなかった」などと弁明を行うも、対日審査の担当者であったボスート委員(ベルギー)が「朝鮮学校に通う子どもたちと拉致問題とは、何の関係もない。朝鮮学校は支援金を受け取っていないのに、他の学校が受け取っていることについて留意し、そのような区別に妥当な理由はないと考える。朝鮮学校は支援金を当然受け取れるべきであり、私たちはこの問題を歴史的な文脈で見るべきだ。歴史的な文脈こそ、朝鮮学校に通いたいと願う子どもたちから、いかなる支援金も奪われてはならないということの十分な根拠である」と強い口調で締めくくりました。日本政府の排除の「論理」は、国際舞台においては、全く通用しなかったのです。
植民地支配下において奪われた言葉や文化を取り戻すための営為として行われてきた民族教育への差別、圧迫を、旧宗主国の政府が今もなお行っていることは、「圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ」とその前文で謳う日本国憲法の精神にも反する行為です。
また、「日本側は、過去の植民地支配によって、朝鮮の人々に多大の損害と苦痛を与えたという歴史の事実を謙虚に受け止め、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明した」(日朝平壌宣言)を、今いちど想起すべきことは言うまでもありません。
現在、各地において「高校無償化」制度からの朝鮮学校排除の不当性を問う裁判が行われています。200人を超える朝鮮学校の生徒らが自ら原告として立ち上がり、裁判闘争をしているのですが、そもそもこの問題は、司法に判断を委ねるようなものでしょうか。日本政府が、憲法前文や第14条の平等原則に沿って、また、第98条2項に則り人種差別撤廃条約や子どもの権利条約、国際人権規約など日本が加入した国際人権条約を遵守する観点で考えれば、そして 日朝平壌宣言の文言を想起すれば、自ずと結論が出てくる問題ではないでしょうか。
私たちは、日本政府が、このたびの人種差別撤廃委員会の勧告をはじめとする国連からの勧告を真摯に受け止め、一日も早く、下記の事項を実施するよう強く求めます。
- 「高校無償化」からの朝鮮学校排除を撤回すること
- 各自治体に対し、朝鮮学校に関する人種差別撤廃委員会からの今回の勧告ならびに前回(2014年)の勧告を通知し、教育行政において差別や偏見に基づく措置や、政治・外交的理由による不当な措置を取ることのないよう促すこと
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