【発掘資料】1949年版「朝鮮中央年鑑」に記された朝鮮民主主義人民共和国 誕生ヒストリー
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編集部より・朝鮮民主主義人民共和国創建七〇周年を迎え、「朝鮮中央年鑑」国内編・一九四九年版(263頁)に記された、創建に至る周辺ヒストリー(「年鑑」の37~44頁)を紹介する。原文はウリマル、不鮮明な印刷と書籍の摩耗などによって、一部解読不能の個所があった。
4、南北朝鮮政党社会団体代表者連席会議
モスクワ会議決定とソ米共委の事業に対する米国の背信的破棄によって、朝鮮民主主義人民共和国独立のための歴史的任務はけっして中断されなかったばかりか、熾烈な全人民的闘争としていっそう強化されたし、南朝鮮米軍政の野獣的迫害にもかかわらず、偉大な人民の英雄的闘争は、南北の民主主義的統一と自主独立を戦いとるために一九四八年四月一四日、平壌市で全朝鮮政党社会団体連席会議として具体化された。
この連席会議に参加した南北政党社会団体の総数は五六団体に至り、韓民独促系列の反逆者組織を除外したすべての政党、社会団体の代表六九五名が参加した。
この民主主義的自主独立を勝ち取るための歴史的会合で、つぎのような朝鮮政治情勢に関する決定書と共同声明書、並びにソ米両国政府に送る要請書を決定した。
整理者・三つの文献は重複する部分が多く、ソ米両国政府に送る要請書だけを載せる。
△ソ連社会主義共和国政府と北米合衆国政府に送る南北朝鮮諸政党社会団体の連席会議要請書
一千万名以上の党員と盟員を網羅した南北朝鮮五六の政党、社会団体を代表したわれわれは、今日一堂に会し、現下、わが祖国の政治情勢を討議し、社会主義ソ連邦共和国政府と北米合衆国政府にこの書簡を送り、すべての朝鮮人民の意思を訴える次第である。同盟国のほう助によってわが祖国が半世紀にわたる日本帝国主義による統治の圧迫から解放され、三年になります。
日本侵略者の植民地的奴隷生活から解放されたわが朝鮮民族は、わが祖国が自主的民主主義独立国家になることを確信し、満腔の歓喜と限りない祝福で、わが民族の半世紀にわたる宿望である解放を慶祝しました。
しかし、わが祖国が自主的民主主義独立国家になることを願うわが民族の歴史的願いはいまだ実現されずにいます。
わが祖国は今日まで二つの部分に分離されました。これはわが民族の政治、経済、文化生活に莫大な支障を及ぼしています。
わが祖国の現下の政治情勢をわれわれは慎重に討議分析し次のような一致した結論に至りました。また、わが祖国に今日のような耐えがたい政治事態をつくりだしたすべての責任は、両軍進駐時、臨時的境界線になった38線を侵略的手段として利用し、わが祖国を永遠に分裂しようとし、わが祖国の統一と独立を遅らせる目的で南朝鮮において単独選挙を実施しようとする米軍政当局に全的にあるということをわれわれは忌憚なく明らかにします。
南北朝鮮諸政党社会団体代表者連席会議は朝鮮人民がいかなる条件、いかなる環境、またいつ何時でも南朝鮮単独選挙を絶対に承認しないであろうし、全力を尽くしてその実現を必ず阻むことをわれわれの名義と責任をもって明らかにする次第である。
三千万朝鮮民族の名義でわれわれは南朝鮮単独選挙実施に反対し、抗議し、朝鮮人民の代表の参加もなくして、朝鮮人民の意思に背いて採択された国連総会と国連小総会の非法的決定に反対し、抗議し、朝鮮での国連「朝鮮委員会」の非法で、強圧的で不当な選挙術策を即時停止させ、速やかに撤退すること要求します。
これは、国連「朝鮮委員会」が朝鮮分割の道具として利用されているからです。
南北朝鮮のすべての人民は、統一と民主を要求します。朝鮮人民には外国の干渉なしに、自らの手で統一的民主政府を樹立する能力があります。
われわれは現下の情勢のような、条件下において、朝鮮問題をもっとも単純に、賢明に、正当に解決する道は朝鮮から外国軍が同時に撤去し、朝鮮人民に自らの手で自国内の問題を解決する権利を与えようというソ連政府の提議を実践することにあると確認します。
南北朝鮮政党社会団体代表者連席会議は、わが朝鮮から両国軍隊が同時に撤去し、外国の干渉を受けずに朝鮮人民が自己の志にそって自由で、民主主義的選挙を全国的に実施し、統一的民主主義国家を創設して、わが祖国が真の民族的独立を成し遂げ、全世界自由愛護国家の同等な一員になることができる可能性をもつことができるようソ米両国政府に要請する次第です。
北朝鮮労働党 北朝鮮民主党 北朝鮮天道教青友党 北朝鮮職業総同盟 北朝鮮農民同盟 北朝鮮民主青年同盟 北朝鮮民主女性同盟 北朝鮮文学芸術総連盟 北朝鮮工業技術連盟 北朝鮮農林水産技術総連盟 北朝鮮基督教徒連盟 北朝鮮仏教連合会 北朝鮮保健連盟 北朝鮮赤十字社 北朝鮮愛国闘士後援会 南朝鮮労働党 韓国独立党 朝鮮人民共和党 民族自主連盟 勤労人民党 新進党 社会民主党 南朝鮮青友党 勤労大衆党 民主韓独党 朝鮮農民党 民主独立党 民衆同盟 朝鮮労働組合全国評議会 全国農民総連盟 朝鮮民主愛国青年同盟 南朝鮮民主女性同盟 南朝鮮文化団体総連盟 基督教民主同盟 全国儒教連盟 朝鮮語研究会 全国仏教と総連盟 仏教青年党 自主女盟 朝鮮民主学生総同盟 在日本朝鮮人連盟 天道教学生会 革新福音党 三一同志会 朝鮮民族大同会 民衆倶楽部 建国青年会 反ファッショ共同闘争委員会 健民会 民族問題研究所 三均主義青年同盟 独立運動者同盟 学兵拒否者同盟 民族解放青年同盟 青年愛志会 南朝鮮新聞記者団
この会議は南朝鮮で進められている米国管理下の不法選挙に反対する南朝鮮単選反対全国闘争委員会が結成され、その指導による単選反対の熾烈な人民闘争が展開された。(詳細は「南朝鮮編」参照)
5、南北朝鮮諸政党社会団体指導者協議会
一九四八年六月二九日から七月五日までの挑戦統一のために闘争する南北朝鮮諸政党社会団体指導者協議会が開かれたが、南朝鮮傀儡政府を掃蕩し、真の人民選挙の実施による朝鮮最高人民会議を創設し撤退、南北の人民代表者たちで朝鮮民主主義人民共和国の中央政府を樹立する課題を強力に推進するについてこの会議で決定書が採択された。
*整理者・「朝鮮の統一のために闘争する南北朝鮮諸政党社会団体指導者協議会決定書」の中の三つの「決定」事項を紹介する。
- 非法に組織されたいわゆる南朝鮮「国会」と、これを土台とする南朝鮮傀儡「政府」が組織されたとしたら、われわれはこれを決定的に暴露排撃するであろう。
これは、いわゆる「国会」と傀儡「政府」の樹立がわが祖国に反人民的反民主主義的制度を設定し、わが祖国を二つの部分に永久に分裂して南朝鮮を米帝国主義者らの植民地、軍事基地に変化させる目的によるものだ。 - 選挙実施に基づき朝鮮最高人民会議を創設し、南北朝鮮代表者たちで朝鮮中央政府を樹立するであろう。
- 朝鮮最高人民会議と朝鮮中央政府は、朝鮮から外国軍隊を即時同時に撤去させるだろう。
南北朝鮮諸政党社会団体指導者協議会は、本会議が代表する諸政党、社会団体の千数百万の党員と盟員たちとわが祖国のすべての愛国者たちが本会決定を熱狂的に支持し、全力で祖国の反逆者たちと戦い、祖国の統一と民主主義朝鮮独立国家を創設させるために献身、闘争するであろうことを確信する次第である。
6、朝鮮民主主義人民共和国憲法実施と朝鮮最高人民会議代議員選挙の実施
一九四八年二月七日、北朝鮮人民会議第四次会議で、朝鮮臨時憲法草案を提出し、全人民的討議に付した結果、北朝鮮はもちろん南朝鮮全域においても米軍政と南朝鮮反動派らの発狂的弾圧にもかかわらず、広範な人民討議が進行し、南朝鮮人民と進歩的な政党、社会団体などの絶大な支持をえた。
一九四八年七月一〇日、北朝鮮人民会議第五次会議において、朝鮮民主主義人民共和国憲法の実施と朝鮮最高人民会議の選挙の実施を決定した。
選挙日時は、一九四八年八月二五日に決定し、北朝鮮地域では北朝鮮中央選挙委員会が構成され、南朝鮮地域では選挙実施ための南朝鮮代議員選挙指導委員会が結成され、全朝鮮の各地で朝鮮最高人民会議選挙事業を統一的に推進した。
選挙の結果は次のように発表された。
朝鮮最高人民会議代議員の選挙のための北朝鮮中央選挙委員会の一九四八年八月二五日に実施した選挙総結に関する報道
朝鮮最高人民会議代議員選挙のための北朝鮮中央選挙委員会は、各区選挙委員会からの朝鮮最高人民会議の代議員選挙結果に関する最終的資料の提出を受けた。
区選挙委員会の会録によると、全選挙区を通じて、四五二万六千六五名の選挙者が登録された。登録された選挙者中四五二万四千九百三二名の選挙者が投票に参加し、これは全登録選挙者の九九・九七%である。
最高人民会議選挙規定によって組織された二一二の選挙区では二二七の朝鮮最高人民代議員候補者たちが登録され、二一二名が当選した。
当選した候補者のため四百四十五万三千六二一名が賛成投票をし、これは投票に参加した全選挙者の九八・四九%になる。
朝鮮最高人民会議選挙規定第41条によって、五二枚の選挙票は正確でないものと認定された。
朝鮮最高人民会議代議員選挙のための北朝鮮中央選挙委員会は、朝鮮最高人民会議の選挙規定第17条によって、選挙票ごとに資料を審査した後、朝鮮最高人民会議の代議員としてつぎの二一二名が当選したことを認定する。
*整理者・代議員名簿は省略
朝鮮最高人民会議代議員選挙の結果に関する南朝鮮人民代表大会主席団の報道
横暴な弾圧と露骨なテロの配下、南朝鮮では、直接選挙の実施が不可能なため、朝鮮最高人民会議の南朝鮮代議員選挙は選挙指導委員会の決議によって、二重的選挙になった。
テロと強圧にもかかわらず、南朝鮮人民代表者大会代表選挙の南朝鮮全有権者八六八万千七四六名中、六七六万二千四六七名、即ち全有権者の七七・五二%が参加した。南朝鮮人民代表者大会に千八〇名の代表が選ばれ、大会に到着したのは千二名だった。
選ばれた大会代表者中、南朝鮮労働党党員一三七名、民主独立党党員五三名、勤労人民党党員六二名、人民共和党党員六八名、労働組合全国評議員盟員六六名、全国農民同盟盟員七〇名、文化団体総連盟盟員二四名、民主女性同盟盟員六〇名、民主愛国青年同盟盟員二三名、全国仏教連盟盟員一八名、基督教民主同盟盟員一八名、社会民主党党員四三名、新進党党員三一名、民衆同盟盟員二〇名、民主韓独党党員三五名、勤労大衆党党員一九名、青友党党員七名、学兵拒否者同盟盟員四名、健民会会員七名、民族自主女性同盟盟員二名、民族自主連盟盟員三〇名、民族大同会会員六名、健国青年会会員六名、報国青年会会員六名、建国儒教連盟盟員七名、仏教青年団団員六名、朝鮮農民党党員六名、韓国独立党党員七名、無所属二六九名だった。
選ばれた大会代表者中、労働者が一九九、農民が三九六、事務員三〇七、インテリ一八、手工業者二六、商人六二、宗教人一六、企業家五二、前地主四だった。
八月二一日から二六日の間に朝鮮最高人民会議代表者選挙のための南朝鮮人民代表者大会が開かれた。大会は、秘密投票で南朝鮮人口に適合させ、五万名に対して一人の代議員として三六〇名の朝鮮最高人民会議代議員を選挙した。 選挙された代議員は朝鮮最高人民会議の選挙に参加したすべての政党、社会団体と無所属の代表者たちである。
*整理者・代議員名簿は略
7、朝鮮最高人民会議と朝鮮民主主義人民共和国
(イ) 朝鮮最高人民会議及び朝鮮民主主義人民共和国
朝鮮最高人民会議の歴史的な第一次会議は、南北で選出された代議員五七二名が参加し、一九四八年九月二日、平壌市で開催された。
この会議では、朝鮮最高人民会議代議員が選出され、朝鮮民主主義人民共和国憲法承認とその実施に関する決定が通過し、朝鮮民主主義人民共和国政府の構成に関する決定が採択通過した。
朝鮮民主主義人民共和国の創建は、南朝鮮の隷属を企てる米帝国主義植民地政策と米国管理下の傀儡政権を粉砕する担保になったばかりか、ソ連を除いたアジア大陸においてもっとも先進的な民主主義的国家になった。会議では、ソ米両軍の撤退を両政府に要請し、法制委員会を任命し、大赦令を通過させた。
*整理者・憲法、最高人民会議常任委員会委員名簿、政府成員、最高裁判所長、検事総長は略
(ロ)朝鮮民主主義人民共和国政府の政綱
一九四八年九月一〇日、朝鮮最高人民会議では、初代首相で朝鮮人民の指導者である金日成首相から次のような綱領を発表し祖国と人民の進路を明示した。
*整理者・綱領は略 50