息子の受験記
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金景延・京都在住
パート1·専門学校にでも思っていたが…
長男・チョンヘの受験が全て終わりました。
日本の大学にチャレンジしてみたいと塾の体験申し込みをした日が去年の二月一〇日。その一年後の二月一〇日が一般入試の最終日となりました。二つの大学、四つの学部を選びました。
丸一年の間。色々あったような、あっという間だったような…
高二の二学期に担任のソンセンニム[先生]と進路について家庭訪問で話し合ったときのこと。専門学校にでも行かせようかと思っていると伝えたところ、ソンセンニムは「いや~チョンヘには是非大学に進んでもらいたいと思っていましたが」と。
アッパ[父親]も「僕も息子にはキャンパスライフを味わってもらいたいと思っていたんです」という話から大学進学を勧めようということになりました。本人もアッパが勧めるなら、と意外と簡単に大学進学に同意。ただ「どうせ受験勉強するなら難しい大学を目指したい」と言い出す息子に私は反対しなかったもののアッパは猛反対。もちろん、日本の学校しか出てなくて受験も経験してきたアッパなので長い月日の間息子を見守ってきて無謀極まりない発言に腹が立つのは十分理解ができました。ウリハッキョしか出てないオンマ[母親]は息子の世間知らずが腹立たしいと目をむいて怒り、世の中を甘く見てるって言っていましたが、無理もありません。現実的な発言ではないので。
息子は、勉強が嫌いだと宣言していましたし、ハッキョ[学校]の成績は万年ウドン生。(あ、ふざけました。漢字で書くと優等生ですが、ウリハッキョでいうウドゥン生です)。ウリハッキョの最優等生は、勉強も運動も芸術も全部できる子だけがもらえるけど、うちの子は不器用なのですべてをこなせないのは当然。苦手とするものが特に多い子ですから。
だから、せめて英、数、国、社、理の五教科だけは頑張るという約束でハッキョライフを楽しんでおりました。幸いにも真面目な子なので、約束だけは守っていましたが、難関大学にチャレンジするには力不足なのは私も十分承知していたわけで…。でも、男の子には冒険をしてほしいと常々願っていた私にとっては大歓迎な発言だったわけです。だって、こんなに度肝を抜かれるようなことを言われると逆にワクワクしませんか?(私がおかしいのか?)
失敗から学ぶことは悪くない。人生は長いのだから。受験に失敗すると人生おしまいみたいな考えもおかしいと思っていたし、志望校は受験の直前に決めたらいいことなので、実力が及ばないときにほかの大学をチョイスしてもよいとも思う。とにかく、息子には「落ちても大丈夫だから気負うことなくチャレンジしてみたら?」と背中を押しました。
アッパは、男は神経が繊細だから失敗は一つでも少ないほうがいい。傷つきやすいから。と失敗を恐れている様子でしたが、本人がそうしたいというのなら反対する理由がないと、とりあえずは塾に通わせることになりました。
大学受験なんて知らないことばかり。何度説明を聞いてもややこしく、理解ができないのでオンマは放棄。アッパの役目はひたすらお金を振り込むこと。親ができることってホンマにないんですね。
一年間ほぼ自分一人の力で勉強の計画を立てて、頑張ってきました。美術部の活動は一学期まで続けて作品を仕上げると自分なりに頑張りましたが、間に合わず残念でした。
六月の修学旅行。二週間の日程だということに、塾の先生が驚いておりました。「そんなに長く行くんですか?…」その言葉の裏にはきっと(今でも勉強が足りてないのに二週間も良く空けることができるな…)とでも言いたかったのではないのかと思います。まず、高三で修学旅行ってどうよ? と戸惑っていたみたいです。ハハハ
夏は全国美術部の三泊四日の淡路島の合宿。チョー楽しかった! そうです。
秋の行事が終わって、やっとまともに塾に通って本格的な勉強を始めだすと徐々に弱気発言が増えてきました。センター摸試と記述摸試が時間内に解ききれない。受かる気がしない。というんです。そりゃそうでしょ。今まで行事という行事は抜けることなく参加して勉強できてないんだから。それでできたらびっくりやわ。でも、好きなことできたんやから何にも悔いはないでしょ? だから、ある力を全て注ぎ込んで勉強しなさい。今はそれしかないの。という冷たいオンマに納得の息子。そこからは結構頑張って塾に通って勉強していましたが、すでに受験は目の前に迫っていました。
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パート2・塾の話―「オンマ! 英語やばい!」
基本的にクラブ活動はやめたくないし、行事の多いハッキョだから時間が自由に選べて自分のペースで勉強できるというところで、東進衛星を選び体験を申し込みました。しっかり体験をさせてくれたし本人も気に入ったのでそのまま通うことにしました。かの有名な「今でしょ!」の林先生の授業も取りました。(フフフ)
先ずは、学舎長と国公立を目指すには時間がなさすぎるということで私立大学を目指すことにしました。理系は苦手なので、文系に。
センター試験は三つ、英語、現代文と社会の中で得意な分野の世界史をチョイス。本人曰く、世界史はウリハッキョの授業でかなり足りてるから助かると言っておりました。現代文は、国語と古文があり、国語のほうは趣味が読書ということも手伝って得意分野でもあるのでセンター試験を解いても割とできていて、この調子で頑張れば大丈夫と言われたものの、古文となるとかなり手ごわい存在で全く歯が立たないと言っておりました。
でも、何よりも! 何よりも大変だったのは英語!! 彼は、英語はウリマル[私たちの言葉=朝鮮語]で訳す、英単語もウリマルで覚える。英語の塾も通ったこともない。そんな中でいきなり見たこともない単語が並ぶ英文の長文に倒れそうになっていました。
「オンマ! 英語やばい!」塾の先生も冷や汗タラーリ。「李くんは、やはり基礎からお勧めします」そりゃ、当然だ。一番丁寧に英語を教えてくれるという今井先生の授業を薦められて受講することになりました。ビデオでの授業は眠くならないか不安でしたが、受講中に画面の中の先生が挟んでくれる面白体験話やら雑談で退屈しなかったというのでホッとしました。ビデオの中の雑談がかなり面白くて塾から帰ってきた息子にお土産話を聞くのが楽しみでした。来る日も来る日も、英語! 英語! 英語!しまいには、ハッキョの英語の試験なのにウリマルが浮かばず日本語しか浮かばなくて結局空欄になってしまったという逆転現象(?)まで起きる始末。きっと、脳も混乱したんでしょうね。英語に関しては、ウリハッキョの英語は、圧倒的に単語数が少ない! 熟語が少ない! とぼやいておりました。うむ~そこらへん難しいよね。ウリハッキョは偏差値とかで入るわけではないから難しすぎてもあかんし易しすぎてもダメ。ほどほどの路線で進めなくては。とにかく見ていても、英語と古文にはかなり手こずっている息子でした。
まさに「新世界!」というところでしょうか。そんな感じでしたが、真面目に塾通いは続きどうにか試験も時間内に解けるようになり、自分のなかに形が見え始めたのがセンター試験目前の一二月に入ってから。なんと、メンタルの絶頂と崩壊が同時に襲ってきたのでした。
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