朝鮮大学校 小平学舎移転60年
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「栄光に満ちた前途を照らしてくれる祖国に心からの感謝をささげる」の全段タイトル。祖国から第2回教育援助費の全額を含め、学舎建設費2億51万円が送られてきたこと、盛大に催された祝賀会の様子と金日成綜合大学、平壌師範大学、民青平壌市委員会からの祝電などが紹介されている。
当時の「朝鮮民報」(「朝鮮新報」の前身)に掲載された二つの記事から、東京中高の仮校舎からの小平移転、新校舎建設60年を振りかえる。
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もくじ
誇りに満ちた新学舎 感動と歓喜に沸き立つ式典
整理者―「朝鮮民報」一九五九年六月二〇日付からの転載。原文はウリマル。原題は「誇りに満ちた朝鮮学園新学舎」、「一三日 祝賀式を挙行」、「武蔵野の地にそびえ立つ四階建本館」、「感動と歓喜に沸き立つ式典」。
在日六〇万朝鮮公民の民主民族教育史上、永遠に記録される輝かしい一ページ―これまで朝鮮人民を搾取し、支配した日本の地、そのいかなる大学より雄大な教育の最高殿堂、朝鮮学園を在日同胞はついに持つことになった。これは在日六〇万の誇りだけではなく、全朝鮮人民の誇りでもある。朝鮮学園の完工とその前途を祝うために、総連五全大会を終えた翌日の一三日[一九五九年六月]に行われた祝賀式には、日本各地の同胞を代表する三千余名が集まり、栄光と喜びを分かち合った。
朝鮮学園新学舎祝賀式は午後二時、新学舎の前庭で行なわれた。会場には、この日の栄光と喜びを分かち合うため、総連五全大会の感激も冷めやらぬ全代議員と各団体の代表、同胞三千余名で埋まった。
朝鮮大学のブラスバンドのけたたましいファンファーレで開幕した式典の冒頭、共和国旗が感激と共に掲揚された。掲揚された国旗は、武蔵野の野の上、夏の風に誇らしくなびいた。
式に先立ち祖国の金日成綜合大学をはじめ各界から送られてきた祝電が披露され、続いてき総連中央の韓徳銖議長をはじめ東京のチェ・ヨングン議長、東京朝鮮学園のキム・ジュヨン教育会長らが祝辞を行った。
韓徳銖議長は、すべての在日六〇万同胞の名で、熱烈に祝賀し「今日、われわれがこの新学舎を持てることは、在日朝鮮公民の民主民族史上画期的意義を持つもの」と強調した。かれは今日の栄光と喜びを「語りつくすことは出来ない」と感激に満ちた語調で述べ、「この栄光は祖国と真の人民政権があってこそもたらされたものであり、われわれは民主民族教育をいっそう発展させ、在日青少年を立派な共和国の公民として教育教養することによって報いよう」と、強調した。
引き続き韓徳銖議長が新学舎の入り口のテープをカットして、新学舎に入ると、三千名の群衆の歓喜と拍手はいっそう高まった。
韓議長を先頭に、大会議長団と同胞たちが新学舎を一巡、議長団が屋上に上ると、「共和国万歳」を高らかに叫ぶ三千余の歓声と感激は最高潮に達し、武蔵野の野に万歳と歓声が鳴り響いた。
祝賀式では、全員で祝杯をあげた後、朝鮮大学学生の合唱、中央芸術団の歌と踊りが繰り広げられ、夕方まで楽しい踊りと歌の宴は続いた。
この日、初めて雄大な新学舎を直接見た同胞たちは、目前の栄光が信じられないように、学舎をながめ、壁をさわりながら感激と感嘆を禁じられずにいた。学父母の中には、五つ星の共和国旗がなびく掲揚台の下で感激の涙を流す場面も見ることができ、歓喜に満ちた朝青員トンムたちによる「オンヘヤ」の踊りはあちらこちらで繰り広げられた。
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移転完了、授業スタート 教員、学生宿舎もすぐに建設
整理者・「朝鮮民報」六月二五日付からの転載。原題は「学びの殿堂朝鮮大学」「あらゆる近代的施設を完備した学舎」「移転完了、授業スタート」「教員、学生宿舎もすぐに建設」。
本紙既報の通り、在日同胞が一途に期待していた民族教育の最高殿堂がついに東京北多摩郡小平町、武蔵野の地に、その威容を誇らしく表した。
朝鮮大学は去る一三日に催された祝賀式のあと、移転を終え、二〇〇余の男女学生はすべてのものが新しく近代的な学舎で喜びと希望に満ち、楽しく学んでいる。
新学舎の完成によって、在日朝鮮公民の教育体制と施設は名実ともに完成し、私たちの子弟が初級学校から大学に至るまで一貫した民主 民族教育を受けることができる物質的土台が構築された。特に、朝鮮大学の新学舎は立派な機械工場を持つことによって、科学技術教育の発展に大きく寄与するであろうし、祖国の図書を取りそろえることによって朝・日間の文化交流・学者たちの学問的交流も深めることができるばかりか、諸般の研究機関との相互交流と各種教員養成事業の中心地となるであろう。
◇
朝鮮大学は三年前の一九五六年四月に二年制大学として全在日朝鮮公民の期待と喜びの中で創立された後、発展の一路を歩んできた。一九五七年には祖国から一億五一万円の大学建設補助費が送くられてきた。これを土台に新学舎建設事業が進められてきた。内外の反動のあらゆる妨害を退けながら推進する中で、一九五八年四月からは四年制の大学として改編され、今年になって学生数も男女合わせて二〇〇余名に増加し、質的量的に発展した朝鮮大学は、新学舎の完成によって、名実ともに学びの最高殿堂として整備されたのだ。(以下略)
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私たちの誇り、朝鮮大学新学舎移転を祝う
韓徳銖・学長(当時)
編集部・「朝鮮民報」一九五九年七月一八日付からの転載。訳と[ ]内は整理者による。
去る七日[一九五九年七月]、朝鮮大学新学舎移転同胞祝賀宴の席上で、韓徳銖学長が祝賀演説を行った。以下、その要旨を紹介する。
× ×
昔から朝鮮人と縁が深い武蔵野の地に朝鮮大学の新学舎を堂々と建てられたことを皆さんとともに喜ぶ次第です。
わが大学は一九五六年に二年制の短期大学として開校し、困難な条件下においても金日成元帥の暖かな愛と共和国政府の格別な配慮に鼓舞され、一九五八年に四年制大学に発展させました。
開校当時、数十名に過ぎなかった学生が今では二百余名に、教職員だけでも六十余名に上ります。
新学舎建設は三年余りをかけ、候補地だけでも数百か所に達しましたが、日本政府の非友誼的措置によってさまざまな隘路にぶつかりました。
しかし、在日同胞子女教育のための党と政府の暖かい配慮と共和国の平和的対外政策に徹底的に依拠した総連の指導と、大学当局の涙ぐましい努力、同胞たちの心のこもった支援、善良な多くの日本人民との友誼に満ちた支持によって、朝鮮大学の新校舎建設が成し遂げられました。
大学事業を妨害したのは、日本政府だけではなく、李承晩徒党やそれと結託した民団悪質分子、それだけではなく、組織内部においても公然と誹謗中傷したり、消極的な態度で怠慢したり、あるいは根拠のない流言飛語を流すことによって、大学建設だけではなく、敵に教育会と総連を弾圧する口実を与えるという、過ちを躊躇なく行う人がいました。
しかし、多くの愛国同胞たちは総連の指導と組織を信頼し、大学事業に膨大な支援を惜しみませんでした。
われわれは祖国の援助と同胞たちの支援に勇気百倍、自らの事業を推し進めることによって、祖国と民族の前に、課された任務を成し遂げる固い決意に満ち、この膨大な事業を推し進めました。
私たちは祖国と人民の前に、一度誓い、決意したならば、いかなる困難と隘路があっても、あらゆる知恵と情熱と能力をすべて出し切り実践してきました。
緑茂る樹木の陰に流れる多摩浄水路、城壁のように延びた青梅街道の美しいけや木、そして箱根の山並みと富士山を一望することができる絶景の中にそびえ建つ新校舎は、雄大な建物と広い敷地をもち、最新の設備を備えた施設を誇り、また水清く、空気が澄んだ環境は、学生たちには二つとない環境になっています。
敷地の総面積は五万七千四百平方メートル、建坪は本館など、四棟で四千三百平方メートルにもなります。
今後、この敷地を十分利用して、各種施設を完備し、テニス、野球、サッカー、バスケットボール、バレーボールなどはむろんのこと、陸上競技場も立派に整備することになるでしょう。そうなれば、8・15[解放記念日]、9・9[共和国創建記念日]などには、数万人の同胞が集い、連合大運動会なども楽しむことが出来るでしょう。
六千キロワット時の容量の電気施設、三五〇尺の地下から一日一三〇〇余の清水を汲み上げることができる水道設備、いかなる雨期にも心配することない下水道が完備されています。
特に建築物にはわが国の建築の優雅な造形美を垣間見ることができるようになっています。本館と厚生棟に挟まれた中庭には、五角星輝く共和国の国旗が朝鮮人民の気概のように高くなびいており、池には噴水が虹の形で噴出しています。
ここに、これから近代的な施設を完備した寄宿舎をはじめいくつかの施設が備わるであろうし、ここで学問探求に熱中する学生たちの幸せはうらやむ限りです。
過去半世紀間、多くの朝鮮青年たちは、勉強をしようと玄界灘を渡ってきましたが、民族差別と言語、風習などの障害、学費難などで志を成し遂げられず、ため息をつき亡くなった人がどんなに多く、真理探究の機会を失い、有能な才能が花咲かせなかったことがまたどんなに多かったでしょうか。
しかし、祖国が解放され、金日成元帥を首班とする人民政権が樹立された今日のわれわれの状況は大きく変わりました。社会主義建設を成果裏に遂行している共和国の庇護の下、われわれは自分たちの大学まで日本の地に立派に持つことができるようになりました。
われわれが経営する各級学校の学生たちだけではなく、日本学校で学ぶ子女たちもみな共和国の子であり、共和国の未来を担う主人公たちです。かれらを祖国北半部で教育を受ける青少年と同じ建設者としてまた、その同志として育てることができなければ、それはおおきな不幸であり、大きな損失です。
日本で生まれ育った青少年たちに、われわれの民族が成し遂げた悠久の文化遺産と、現在、燦然と開花発展している祖国の新しい民族文化の諸般の成果を教育することによって、かれらに民族的自覚と矜持を持たせ、朝鮮の主人公として自らの役割を充分担うことができるようにすることが緊要な課題です。
わが大学はこのような重大な使命を担っています。
また、われわれは日本の技術を充分に習得し、祖国建設の機械化に貢献しなければなりません。
そして、祖国の平和的統一を成し遂げなければならない民族的使命が残っています。この偉大な事業は社会主義陣営のすべての人民と世界平和愛護人民との固い連帯と提携によって成し遂げられるものであり、したがって国際主義的素養を高めることが大切です。
いうならば、金日成元帥を中心とする朝鮮人民の愛国主義思想と国際主義思想で教育することによって祖国と民族が嘱望する新しい型の民族幹部を育成することが、わが大学の重要な使命になります。
金日成首相は、金日成綜合大学の目的を「高い科学と技術で武装し政治的に訓練して民主主義祖国の建設と民族幹部を養成することにある」と、おっしゃりました。われわれはこの教えを鏡としてわが大学を運営するでしょう。
われわれはこれからこの大学をいっそう美しく、立派に、いかなる大学の施設にも劣らなくすることによって、祖国と民族の栄誉をいっそう高く末永く輝かせなくてはなりません。そのためにみなさんの誠心誠意の支援と協力を願う次第です。
アメリカ帝国主義と李承晩徒党とそれと結託する日本の一部政治勢力の妨害策動の中においても、この栄誉ある任務を遂行しなければなりません。
学校の認可獲得、学校の施設の整備、研究機材の完備、学生の数と質の向上、教育内容の改善、教員の質的向上など困難な問題をあらゆる妨害をついてやり切らなければなりません。
しかし、われわれは今までも戦って勝ってきたように、これからの戦いにおいても必ず勝利するであろう確信に満ち溢れています。
わが大学のより大きな発展のために共に戦っていきましょう。
一九五九年七月七日
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