朝青活動を日常化させたい 今は受け皿づくりの段階（朝青茨城・金才皓さん）

たった一人の入学生
生徒の減少を実感

金朝大で六年間過ごして茨城に戻ってくると、委員長がいた頃とは違っていませんでしたか？

金委員長まず生徒数が半減していました。百人台だった生徒数が六〇人台になっていました。今は五一人です。茨城に戻って朝青に赴任した年、茨城朝高の入学生は一人でした。今、朝大に通うリャン・リミさんですが、彼女は群馬出身で、茨城からの入学生はゼロでした。赴任早々、生徒の減少を実感して、このような状況を打破するために活動家として自分ができることを何でもやろうと気持ちを新たにしました。

金朝青はどうでしたか？

金委員長自分が学生だった頃の朝青茨城と現状はかなり違いました。初級部の頃からお世話になっていた朝青サッカー部はなくなっていて、青商会サッカー部が新たに設立されており、そこに何名かのチョチョン員たちが合流する形になっていました。特にぼくや前委員長の年代の同胞青年が進学や就職のため茨城を離れてしまって、名簿を見ても同胞青年の数が半分以下に減っていて、その内訳の三分の一ほどは他の地方から来た同胞でした。生徒や朝青、若い世代の絶対数が減っていました。でも朝青員たちと会うと、｢同胞社会を守りたい｣という熱い気持ちは変わっておらず、その気持ちの熱さに驚かされたり、励まされたりしました。

金赴任した時は、他に専任の活動家がいたのですか？

金委員長委員長がいました。自分は、赴任当時は本部指導員で三年目から本部組織部長を務めました。

金支部はいくつあるのですか？

金委員長筑波と中央と県北の三つの支部があるのですが、県北支部は支部常任委員会を築けておらず活動を活発にできていません。

金県北支部は、どのあたりですか？

金委員長茨城県を横割りで三分割にした北側ですが、主に日立や常陸多賀、高萩、北茨城の方です。同胞たちも少なくなっており、朝青員も八人しかいません。総連支部は常任委員会もあって本部委員長が支部委員長を兼任してしっかりとした活動を行っていますが、朝青は活発にできていません。

金筑波支部には同胞が多いのですか？

金委員長多いです。東京に近くて職場も多いしどんどん発展しているので。でも水戸にあるウリハッキョと離れているので、日本の学校を卒業した同胞も多くて、朝青世代の同胞青年に関しては掌握できていない部分もあります。

同胞と会っていれば課題は見えてくる

金赴任当初は何から始めていいのかわからなかったのでは？

金委員長始めは何もわからなかったのですが、前委員長に同胞青年たちと頻繁に会うことが大切だと、会っていれば課題も答えも見えてくるので、訪問・談話をするように言われました。それでできるだけ同胞を訪ねて行って、同胞たちと一緒に過ごすようにしました。朝大で学んだ｢組織建設と思想建設が大切だ｣という理論を、どうして実践すればいいのかいろいろ悩みました。ハッキョがある中央支部を担当するようになって、毎月、一度常任委員会を開いて、盟員全員と会って話したり、食事を一緒にしたりするようにしました。その一方で、まだ盟員にはなっていない同胞や日本の学校に通う同胞生徒を三カ月に一度は訪ねるようにしました。

金じゃあ、ひと月に四〇～五〇軒の同胞宅を訪ねているのですね。

金委員長そうですね。会えなければまた行ったりして。

金そうして回るうちに辛い思いをすることもありますよね。

金委員長｢○○さん、いますか？｣と訪ねて行くと、｢私たちは日本人なのでかかわらないでください｣と言われたり、｢また来たのか、俺たちは関係ないと言ってるだろ！｣と包丁を持って｢二度と来るな｣と脅されたこともありました。そのことを朝青委員長に報告すると、｢やっぱり君もやられたか。まあそういう家だから、経験だと思って｣と言われました。そういうことを言われて包丁まで出されるのかと思いました。サマースクールに動員しようと少し遠い同胞を訪ねて行った時は、本人が行きたいけれどサッカー部の重要な練習の時期と重なっていて、その練習を抜けたらスタメンには入れないと言われているのでどうしようということでした。そういう例は以前にもあって、その時は、監督に会ってサマースクールの趣旨を説明すると快く送ってくれました。その前例を説明すると、自分の担当の先生にも会って説明してほしいということでした。でもデリケートな問題なので、二日間両親とも相談して考えてほしい、その間に何かあれば連絡をくれるように話しました。二日間待って何も連絡がなかったので、監督に連絡をすると、監督も快諾してくれました。ところがその直後、生徒のアボジから連絡が来て、｢何を勝手なことをしているんだ！｣と｢ハルモニがいるから総連とかかわっているけれど、いなくなったら一切かかわらないから｣と脅しのような電話が来ました。この時は自分のせいで同胞が一軒離れてしまったと、大きなショックを受けました。翌日には総連本部にも連絡が入っていて緊張したのですが、委員長が｢一生懸命やった結果なのだから、大丈夫だ｣と｢事前に相談してくれれば一緒に対処できるから、これからはそうするように｣と、励ましてくれました。心無い言葉を投げつけられたり、朝高を卒業したのに｢関係ない｣と言われたりすると、やはり辛いです。

金そういう時はどうするのですか？

金委員長そういう時は一緒に活動している先輩に会って、相談します。すると先輩が｢どっちが正しいことをしているかは歴史が証明してくれる。責任は自分が取るからいちいち細かいことを気にせずがんばれ｣と言ってくれるので、いつもその言葉に励まされます。

金そんな経験をしながら、それでも同胞たちを訪ねて行くのですか？

金委員長今は特に、一人でも多くの同胞たちを訪ねようと力を入れています。同盟員数が昨年の大会で減少したので、同盟員はもちろん、日本の学校に通っている同胞生徒たちにも二カ月に一度は必ず会うようにしています。

金専任活動家は何人いるのですか？

金委員長もう一人、三年目の活動家がいます。彼は本部で日本の学校に通う同胞生徒たちを担当しています。

金厳しいことを言われると、二の足を踏みませんか？

金委員長そうですね。包丁が出て来た家は一回限りであきらめてしまいました。塩をまかれた家はもう一度訪ねようかなと。二回まかれたら、検討します。

金朝高を卒業したのに関係を絶ちたいという同胞は多いのですか？

金委員長茨城ハッキョの卒業生の場合はめったにいません。でも一人か二人。歳の離れた先輩たちなので、その時期にいろいろあったのかなと思っています。最近卒業した朝青世代の卒業生にはいません。

ハッキョや同胞への気持ち確認して実践した前期

金前期(23期　二〇一四・七～二〇一八・七)の大きな成果は？

金委員長23期は、ハッキョや同胞たちを思う気持ちを育んで、実践に移そうという活動をしました。23期の一年目、ぼくが活動して二年目は、ハッキョや同胞への気持ちを確認して一つにつなげて、三、四年目はいろいろ実践しました。
ハッキョに対しては、二〇一六年度に、ＩＣＴ教育を実施するために学校のインターネット環境を整備しようと、卒業生や朝青員に呼びかけて、｢心に育んだ『愛校心』を呼び起こそう！　卒業生一口運動｣で集めた資金で、完備Ｗｉ-Ｆｉ機器を購入して施設しました。去年のゴールデンウィークには、体育館前のすっかり古くなった駐輪場を、建設業を営む同胞の助けを借りて、朝青員たちで作り直しました。古い屋根をはがして、柱もすべて撤去して新しくしました。
同胞たちに対しては、｢朝青奉仕隊｣を作って、高齢者の同胞宅を訪ねて、電球を変えたり、詰まった下水道を掃除したり…。そこで同胞たちの昔の話を聞いて、自分たちの知らなかった歴史を学びました。

金具体的な成果を挙げてきただけに朝青への期待は大きいですね。

金委員長そういう蓄積があるので、後戻りはできません。

金同盟員はどれくらいいるのですか？

金委員長教員や生徒たち以外に、前期は五〇人くらいいましたが、今は二三人です。教員やウリハッキョや日本の学校に通う生徒たちを入れると六〇人くらいです。