ハッキョ中心にした豊かな静岡同胞社会を目指して(朝青静岡・宋一さん)
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インタビューを終えて
金淑子
静岡で朝日学生交流会が行われた翌日の午後、市内のファミリーレストランで話を聞いた。約束していた駅前ロータリーで待っていると、前日の交流会で講義した留学同愛知県本部委員長の金秀烈さんと常任委員の全裕誠さんが宋委員長の車から降りてきた。予定が押して、東京に戻るバスの時間まで一時間余りしかなかった。焦る気持ちで挨拶も早々に、入れ替わるように乗り込んでインタビューの場に向かった。
二〇〇九年に朝青本部を再建して、三つの支部を再稼働させ、一〇年目に、雨にも関わらず二三〇人余りの同胞たちが集うイベントを成功させた。同胞たちに、賑わう同胞社会を実感させた前委員長と前々委員長、前組織部長、そして宋委員長。プロパガンダではなく、日々の粘り強い活動の積み重ねで「ハッキョを中心にした豊かな静岡同胞社会」を目指す。「夢は大きく、活動は地道にコツコツと」という宋委員長の言葉に、荒れ地を耕す農民のように、たまに逆風に遭いながらも気を取り直して地域を回り、同胞を掘り起こしてつなげて行く歴代朝青活動家たちの骨太の活動が頭に浮かんだ。
「生徒たちに接しながら、今までのやり方ではダメかなと考えています」という言葉には驚いた。「今の生徒たちは私たちの頃とは比べ物にならないほど多くの情報に接しています。そんな情報の山から彼らが自ら選んで受け入れるようにするために、より具体的な内容を示していかなくてはいけない」と言う。二年前にICT教育の連載をしていたときにこんな言葉をよく聞いたが、そのときはまだ「これからの生徒たちは」と言う前置きがついていた。生徒たちの変化は超特急のように速い。それに敏感なのは、生徒たちと真剣に、真正面から向き合っている証拠だ。
「なぜウリハッキョなのか」と言う問いにも、迷うことなく答えが返ってきた。「ウリハッキョで学んでいるからその新たな時代の主人公になれる、統一した朝鮮半島で活躍できる手段を手にできます。そこではばたくためには自分自身の考えをこれまでよりももっとしっかり持つ必要があると思います。情勢がよくなればウリハッキョがいらなくなるのではなく、情勢が好転する時期に活躍できる人材を育てるためにウリハッキョの必要性がさらに増すのではないかと思います。自分がどの方向に進めばいいのかを主体的に選択して進める能力を育てられるのはウリハッキョだけです」ときっぱりと言い切った。ウリハッキョの存在価値について、生徒を増やす方策について日頃から悩み、考えているのだろう。
同じ愛知朝高学区の長野について「朝青は非専任です。同胞数は静岡より少ないはずなのに、青商会・保護者世代が強くてああして盛り上がっていて、うらやましいし、朝青の専任活動家がいるのに負けていられないという思いがあります。どうやっているのか学びたいです」と。
留学同についても「留学同のトンムたちは自分たちで探してもがきながら人生観を築いていきます。そんな中で学ぶために朝鮮を訪問して、専任活動家になろうと決心するトンムもいて、そこまで思考を深めていく団体はなかなかないのではないかと、本当に尊敬しています」と。
常にアンテナを張って、活動のヒントを得ようとどん欲に情報を集めている姿勢が伺えた。「いつまでも同胞社会の小間使い、縁の下の力持ちではなくて、青年たちが先頭に立って、本当の意味の先駆者になれるように、同胞社会の中で朝青の地位をもっと向上させたいと思っています。同盟員も今は四五人ですが、六〇人くらいまでには増やせるのではないかと思っています」と目標も具体的だ。
青年運動には勢いがある。最近若い世代をインタビューしながら感じるのは、風ではなく、地に広がっていく根のような力強さを伴った勢いだ。
待ち合わせ場所の静岡駅ロータリーであった時の、金秀烈委員長(49号インタビュー)と全裕誠常任委員長(54号同)、そして宋一委員長の三人の姿を思い出すたびに、頼もしい彼らを、私たち既成世代はしっかり後押しできているのだろうかと自問する。56
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