「朝鮮人」実感したウリナラ訪問 活動通じ、思い伝える難しさ学ぶ
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海洋生物学者? 活動家?
揺れる将来の選択
金ウリナラに厳しい制裁が加えられている中で、在日本朝鮮人科学者協会のメンバーの中には、ウリナラや総連との関係はもちろん、朝鮮人であることも明らかにできない人も多いと聞きます。そんな厳しい中でも朝鮮人としての自尊心をもってコツコツと研究を重ねている同胞研究者には本当に頭が下がります。
全自分も科協には出ていて、海洋生物系の研究をしますというとすごく歓迎されるのですが、一方で活動家になりたい自分もいて、葛藤があります。何が求められているのか、自分は何がやりたいのかと考えたときに、もっと同胞と直接かかわっていきたいなという思いが強くて。
金海洋生物学は朝鮮半島にとってはもちろん日本と朝鮮の関係においても非常に重要な研究ですよね。
全しかも朝鮮東海(日本海)については、軍事的調査はされたのですが、生物資源に関する調査はほとんどされていないので、本当に夢がいっぱい詰まっている海域なのです。こういうことを話すと揺れてしまうのですが。
金おまけにウリナラは今、水産業に非常に力を入れています。
全ウリナラに行った時も「何を専攻しているのか」と聞かれて、「海洋生物だ」と答えるとすごく食いつかれるので、「実は留学同の活動で」とかわしていました。
金研究に未練はないの?
全未練がないと言ったらウソになります。四年生になれば本格的な研究が始まるので、これからの朝鮮人の海洋研究学者の道がどういうものかというのが見えてくると思います。その時にまた考えてみようと思います。今のところは留学同活動家になりたいです。
金海洋学者になってウリハッキョの子どもたちに夢を与えてほしいとも思います。
全そこは自分も引っかかっているところです。
金生徒の減少をみても、同胞社会が物理的に小さくなっているのは紛れもない現実です。そう言う時ほど、中心が強くなくてはいけないのですが、強くなるためには多様化しないといけません。総連は、いろんな分野でがんばっている人が、足場にするところでないといけないと思います。守るべき核をしっかりと示して、それぞれの技術や知識はもちろん、さまざまな分野の考え方のプラスの部分を吸収しながら支えていかないと、時代に取り残されてしまうのではないかと思います。
全多様化ですか?
金例えば朝鮮大学校の理工学部・工学科の先生は今一人しかいないのですが、大学や研究機関、企業で働いている卒業生たちが講師として教えています。朝大の先生は、若い卒業生たちで勉強会もして、力をあわせれば将来何か面白いことができるのではないかと夢を持っているし、その夢を能力のある先輩たちが講師として支えているということです。
全確かに今まで誰もやって来なかった世界に入ってやるということに夢があります。先生になりたいと思った時期もありました。海洋生物学者になって、ウリハッキョに講義に行って、子どもたちに夢を持ってもらえればいいなと思います。
金そういう形で貢献するためには活動家に劣らない同胞への愛情が必要だと思います。
全同胞への愛情を感じたら、何をおいても活動家になってしまうというようなところは確かにありますね。そういう方法もありますね。専門家としてのネットワークを築くこともできますしね。
金活動家も、専門性が求められると思います。気持ちだけではできない時代になっています。
全あと一年ですが、アッという間に終わりそうですね。勉強もして、進路も悩んで。
金日本の海洋生物学は世界的にどれくらいのレベルなのですか?
全海洋研究開発機構のジャムステック(JAMSTEC)というのがあって、世界的にも一番深いところに行って、海に関して一番広い研究をしています。自分もそこに行きたいと思っていました。日本はこの分野の研究でトップクラスだと思います。
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