「朝鮮人」実感したウリナラ訪問 活動通じ、思い伝える難しさ学ぶ
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ルーツに悩んだとき
頼れる団体として
金三年生だとそろそろ将来のことを決めなくてはいけませんね。
全少し前までは海洋生物学者になりたいと思っていたのですが、今は留学同の活動家になりたいと思っています。学生だけじゃなくて、同胞に寄り添って引っ張っていくような人になりたい、今の社会を糾したいと思うようになって。
金留学同は今の時代に必要な団体だと思いますか?
全非常に大事だと思います。スタートが昔と違うと思います。十数年前まで同胞たちは、がっつり朝鮮人の社会で暮らしていましたが、今は在日朝鮮人コミュニティーがあることも知らないまま遠ざけられて育った同胞が大勢います。そうして育った同胞の若者たちが留学同と出会うことで自分のルーツを知るきっかけを得られます。
金ルーツを知ることで、かえってしんどくなるんじゃないかという人もいますが。
全知る方がいいと思います。確かにいろんなことが見えてきて辛い部分もあると思います。でも生きていれば、いつかぶつかるものだと思います。自分は要領のいい方で、朝鮮人であることを隠しながら、もしくは朝鮮人である部分を利点にしながら生きていくことはできるかもしれないけれど、自分の家族、例えば自分が愛した人だとか、子どもがルーツの問題にぶつかったときに、今の日本社会で円満な解決を望むのは難しいと思います。そういう時に、朝鮮人として生きていく道を一緒に開いてほしいと頼めるような、頼りになる団体は他になかなかありません。自分が今、大丈夫だからと、この問題から目を背けて生きるのは、違うのではないかと思います。
金無償化世代ですね。
全東京朝鮮高級学校の無償化裁判の原告です。遠いのでなかなかいけないんですが、少し前も口頭弁論の時に行きました。
金無償化制度から朝鮮学校だけが除外されたと聞いた時、どんな気分でした?
全中学生の頃でしたから、自分のことだと思いませんでした。ところがその背景などを知るうちに、自分たちが差別の被害者だという実感が沸いてきて、許せないと思いました。この現状を変えなくてはいけないと思います。
金留学同は、勉強をよくしますよね。本もよく読むし。もう一度一から自分を問い直しているような感じを受けます。
全先輩にも、そういう質問をよく投げかけられます。自分はそういうことを考えるのが嫌いではなかったのですが、突然、「なんでお前は、大学で通名を使っているんだ」というような質問を投げかけられて、戸惑う一年生もいます。
金日本の大学だから、「果たして君は朝鮮人なのか」ということをいつも問われているような環境なのかな?
全そういうのもあると思います。先輩にそういう問いを突然投げかけられることもありました。でも自分は、出会ったばかりで学生との距離を縮めるのがなかなか難しいと感じています。昔みたいに先輩が「お茶飲みに行くぞ」と言ったら後輩は仕方なくついていくというような時代ではないので。後輩も嫌な先輩は避けるので。でも必ず考えなくてはいけないことで、どのタイミングで問いかけるのかというのは本当に難しいです。
金じゃあ、人間関係についていろいろ考えるようになった?
全それが一番難しいです。後一年の間に、それがしっかりできるようにならないと、と思っています。人間関係が苦手な学生もいるのに、そんな学生に対して笑うときは一緒に笑って、引っ張る時はしっかり引っ張ってというタイミングをつかむのが本当に難しいです。でも大事にすべきところであり、課題だと思っています。しっかり考えないと、知らないうちに遠のかれてしまいます。
自分の勉強をしたい学生もいれば、遊びたい学生もいます。そんな中で「留学同に出てきて、大事なことだから」と伝えたい気持ちはあっても、なかなか本題を持ち出すのは難しいし、それが伝わるまで時間がかかります。静かで勉強が好きな学生が、留学同に出てきて、ルーツについて考えることは大切だと知って、それを人に伝えようとするんだけれど、なかなか難しいというようなこともあります。「総連系なんだ」とか、「ナショナリズムじゃないのか」とか毛嫌いされることもあります。
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