児童教室、連合同窓会を体系化し 同胞の希望となる自立した朝青目指す
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インタビューを終えて
金淑子
一一月最後の日曜日に大阪本部の事務所で話を聞いた。
会ったのは二度目だった。昨年二月の寒い日に本部の前でインタビューの相手を待っていると、たまたま戻って来た金委員長が「寒いから中で」と朝青本部に招き入れて温かいコーヒーを出してくれた。震えていた私にはこの上なくありがたかった。
この日も休みにもかかわらず閑散とした本部に出てきてインタビューに応じてくれた。
若い世代のインタビューでは、質問の後、少し間を置いて答が返ってくることが多い。思慮深さに頼もしさを感じるが、彼女もやはりそうだった。
朝青活動の第一歩は、同胞青年たちとつながることだ。訪ねて行って顔を合わせて言葉を交わすことは、SNSが普及した今も変わらない活動の基本だ。「はじめは『いやだ、いやだ』と言っていてもしつこく訪ねていって、話を聞いたり食事に誘ったりするので、いつの間にか情が生まれて…、という、そういう活動は私たちの団体ならではだと思っています」。伝統はしっかり受け継がれている。
一方で児童生徒数の減少でウリハッキョは統廃合され、経済的に不安定な総連やその傘下団体の活動家のなり手は少なく、長続きしないことが多い。現場は人手不足で、常に仕事に追われる。そんな厳しい状況に歯止めを掛けて、局面を逆転させるにはどうすべきなのか。
難問を前に金聖娘委員長は、児童教室や連合同窓会というシステムを作って、公的な助成金をもらえるような安定した運営ができるNPO団体を目指すことにした。そうすることで、つながりのある同胞を増やしてウリハッキョへの入学を促し、朝青活動家が同胞たちの希望に、願わくば子どもたちのあこがれの職業になってほしいと考えている。これが机上の構想ではなく、すでにスタートしている城北、福島、北大阪の実績や、ウリマル教室から学生会を再建した自らの経験に基づいた構想だというところが心強い。
連合同窓会は、他の地方や海外に行った卒業生の心の故郷になる。朝青世代の卒業生の多くが、ウリハッキョが好きだというのがうれしい。同じ世代で何となくつながっているというのはいいものだ。
朝青の中でも、「高校無償化」制度の問題に対して意識が違うというのは興味深かった。制度が導入される前の世代は「ウリハッキョだけが排除されていることに慣れっこになってしまって、『いつものことじゃないか』という感じ」なのだという。
考えてみるに、私たちは在日朝鮮人の人権を求めて闘ってきたが、人権について正式に学んだことがない。そもそも人権とは何なのか? その歴史や重要性、ジェンダーや障がい者など民族的マイノリティー以外の人権についても体系的に学んで人権意識を高める教育が求められているようだ。それはウリハッキョの大切さを学ぶことでもある。
金星娘さんは朝青本部で初の女性委員長だ。当たり前のことだが、女性と男性の違いは優越の差ではない。性別の特性を含めて、自然体で活動する金委員長を、周りも自然体で受け入れて、それぞれの個性を生かして、一つになって活動していければと思う。朝青大阪本部の活動を見守っていきたい。53
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