民族教育受けて来た者として知らないふりできない
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在日本朝鮮留学生同盟 京都地方本部委員長
高明愛さん
プロフィール
- 1988年 9月生まれ
- 2007年 3月 広島朝鮮初中高級学校卒業
- 2011年 3月 京都外国語大学卒業
なぜ本名を名乗るのか?
ルーツ学び共に考える場
金淑子年間のおもな活動は?
高三月の大会でそれまで一年の活動を総括して、次年度の活動計画を決定し、三月下旬から新入生の入会募集を開始します。四、五月は新入生歓迎期間ということで、各大学のサークル(朝鮮文化研究会)で入会を募集して名簿作りをします。六月末か七月初めには一泊二日の「プレマダン」というキャンプをします。八月に全国的なキャンプ「マダン」を二泊三日でするので、そのプレ企画で、まず京都で、一泊二日で講演を聞いて討論したり、バーベキューをして皆で騒いだり。この時に留学同について説明します。七月は試験期間なので、活動は一時中断されますが、八月中ごろに全国規模の二泊三日キャンプ「マダン」を実施して、九月に祖国訪問をします。
金ウリトレの初日にウリナラから帰って来たんですよね。
高今回のウリナラ訪問は建国70周年ということで、人数が多かったです。一八人の学生が行きました。朝高の修学旅行みたいな雰囲気でした。私は年齢が年齢なので、学生たちが幼く見えて。コースも後半は行事ばかりで。行事に参加しても植民地から今日までの七〇年の歴史を一回流すようにしているので、学生たちはそれを通じて頭の中を整理できるようです。
金その後は?
高上半期は一緒に食事したり、リクリエーションを楽しんだりするメニューが多いのですが、下半期には学習モードに入ります。朝鮮人であることを明らかにして本名を名乗るのはなぜなのか? について自分のルーツを学びながら一緒に考えます。
一一月に入ると各大学で学園祭が開かれるので、そこで展示会や講演会を企画して対外活動をします。一二月中旬にはチャレンジフォーラムという全国行事が東京で開かれます。大学での専攻ごとに分野に別れて論文やビジネスプランなどを発表します。文学作品や、チマチョゴリのデザイン、美術作品などを募集して、優秀な作品には賞金を出します。二泊三日です。今年は二日目に朝鮮大学校の学生たちと交流会を企画しています。
金年末に忘年会をして
高新年を迎えて成人式をします。二月には講習、京都では毎年このころに文化公演をしています。来年は三月一日が3・1人民蜂起一〇〇周年なので、近畿で大きなイベントを組む予定です。そして三月に一年を締めくくります。
金忙しいですね。
高それ以外にも週に一度は支部で定期学習会を開いてウリマルを習ったり、大学ごとにランチ集会をしたり、医療や法学、美術など専攻別の集まりもあります。
金専攻別にスタディーをするということですか?
高外部から講師を呼んで話を聞いたり、専攻分野について一緒に勉強したり。最近では、京都朝高の美術の先生に来ていただいて在日朝鮮人と美術について、弁護士の方に来ていただいて法廷闘争を繰り広げたある事例について、話を聞きました。大々的に宣伝しているわけではないのですが、会員を中心にした勉強会です。
本名を名乗るための
人生をひっくり返すほどの覚悟
金明愛さんにとっての留学同について伺います。朝高に通っていたころは、在日朝鮮人コミュニティーに息苦しさを感じていたというか、もっと広い世界があるのではないかと思っていたと話していましたが。
高留学同で学んだのは、世界がどのように回っていて、その中に私がいて、祖国があって、同胞がいるということです。自分が思っていたよりも同胞社会はずっと広くて。
日本の学校を卒業した先輩に会ったことが衝撃でした。ウリハッキョに通いながら自然に習得したウリマルや歴史観の大切さ、同胞社会の温かさを改めて発見したというか。本名を名乗るためにそれまでの人生をひっくり返すほどの覚悟をしなければいけない現実について、先輩の話を聞いて初めて知りました。通名から本名に変えることがどれほど重大な変化をもたらすのか、それでも本名を名乗ることが在日朝鮮人として生きるという自分の主張になるという話を聞いてすごくかっこいいことだと思いました。日本社会にこういう同胞たちもいることを知って、自分の世界が広がったように感じました。それまでは広島朝高の卒業生や家族、親戚、近い同胞コミュニティーしか知らなかったけれど、日本にはもっと多くの同胞がいろんな思いを抱えて生きていて、さらには朝鮮半島にも中国にもロシアにも世界中に朝鮮民族が住んでいて、どうして世界各地に散り散りになって住むようになったのか、なぜ自由に会えないのかということを知って、自分をもう一度見つめなおすきっかけになりました。
金そういうことを考えるきっかけになったことがあったのですか?
高ありました。一年生のころ、同胞社会の中のジェンダーの問題に関心を持つ四年生の先輩に出会って、「前夜」という雑誌に書かれた金伊佐子さんの記事を読んだのですが、在日本朝鮮人運動を担っていく人材を育てていくうえで、在日朝鮮人社会があまりにも男性中心だという問題点について指摘していました。それを読みながら、同胞社会の中で親しいからと見過ごしていい事ばかりではない、民族だけが問題なのではなくて、男女差別や障碍者差別、階級の問題など、知らないでは許されない問題がたくさんあることを初めて知りました。ジェンダーの視角から見た在日朝鮮人運動ということを考えるようになりました。
金具体的には?
高誰に対しても暴力的な言葉は使いたくないと言いながら、誰かの足を踏みつけている人がいる。自分はそうしたくないと。自分が幸せになるために他人を不幸にしてはいけない。例えば、在日朝鮮人が解放されるために民族だけを優先するのではなくて、同時にジェンダーもそうだし、階級の問題も解決していかなくてはいけないという意味だと思います。今私たちが在日朝鮮人として被害者としてだけではない部分、先進国日本でほかの途上国を搾取しながら暮らしていることについて無知ではいけないし、他国の戦争に大企業が加担している現実にも目を向けていないと、知らないうちにそれに加担する場合があるということを、そこまで具体的ではなかったと思いますが、書いてありました。活動家としてそういう問題も念頭において見過ごさないでやっていきたいと思っています。
金在日朝鮮人だけが弱者ではないということですよね。
高それまでそんなことを意識したことがなかったので、衝撃でした。広島では、米軍による原子爆弾の被害をアピールすることが多くて、それと朝鮮人の植民地被害が自分の頭の中でしっかり整理されていませんでした。朝高生の頃に広島で、何度もハルモニたちの話を聞いたりして感じることはたくさんあったのですが、留学同の活動を通じて、そういう社会に住んでいるということを論理的に整理できるようになりました。一年生の時のそういう経験を通じて、留学同でもっと多くの人たちに会って学びたいと思うようになりました。
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