朝大「花の政経14期」青春物語:木蓮の花は咲いたか
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番外編・気ままな集まり
キム・イルウ(1968~72年在籍)
【7月5日・木曜日】
声を掛け合い、なんとなく集まった。大会、総会を終え、現役の会長、社長、事務局長が三人、顧問が三人、役職なしが私を含めて二人の八人。半数が『風景』を読者として支えてくれている。
太ったとか、健康に気をつけなくてはといいながら、生ビールで乾杯が終わると、いきなり焼酎とウイスキーのボトルをキープ、コース料理のほかに、煮魚と焼き鳥セットを追加、飲み・食い力は相変わらず衰えずだ。
何人かが近況を話す。それが終わると一斉に語り出す。いつものことだが、健康や孫の話より、組織や政治の話だ。
「この年まで現職を続けるとは…」と言いながらも、「命じられるままに就くのがイルクン[専従活動家]の本分…大切なことはその場で何をやるか、何ができるかを考えること…それをもっと早く悟ることができていたら、もっと楽しく、充実したイルクン生活を送れたのに…」
「青商会で鍛えられた後輩たちは頼もしい…能力も気力も勝っている。今までにない新たな同胞社会を築いてくれるだろう…われわれも現状に安住せず、もうすこし頑張っていたら…」
「自宅で闘病生活を送る先輩の元イルクンを励まそうと、飲み物とオードブルを持ち込み、その家で定期的に分会の集まりをしている」
「…洗濯は洗濯機がやってくれると思っていたが、干して、たたんで…食事の支度も…妻が入院して初めて家事の大変さが…結婚して四十何年たってようやく支えられてきたということに気づいた。感謝が…」
「『焼肉ドラゴン』観た? 埼玉の『やきとり物語』は? うちの話であり、あいつの家の出来事だ。在日ありありの…笑って、泣いたよ。『あなた号泣していたよ』だって…夫婦で一緒に観るなんて…」
なぜか、この日はいつもとは違い、反省しきり、みんな良い人に思えた。
朝高を卒業して組織で二~三年働いた後、給費生として入学して来た先輩の話が心にしみた。
「…支部の四畳半の畳の部屋で寝泊まりして月に三千円、それが出ない月も…自転車が倒れそうに積んだ『新報』を配って…朝大への進学が決まって、嬉しかったのは三食食べられるということ…一八歳、その時の体験、思いを一瞬たりとも忘れたことはない…」。
初めて聞く話だ。反省しきりの話とともに、みんながそれなりにいい齢の取り方をしてきたということなのだろう。
「もっと早く悟ってくれよ」と、思いつつ、年末の忘年会が楽しみになった。50