10年目迎えたセッピョル学園は誇り。同胞のつながり広めたい
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インタビューを終えて
金淑子
セッピョル学園の最終日午前に茨城ハッキョの教育会の部屋で話を聞いた。話を聞いていると、言葉の端々から誠実さが伝わってくる。
「人のためにというきれいごとを言うけれど、そう思っているうちはなかなか結果にはたどり着けない」、一心にやっていればそれがどこかで誰かの役にたっているものだという。
しかし一人では何もできない。「私はいい人たちに囲まれています。よく冗談で、『他力本願でいつもやってきた』と言うのですが、本当にそう思っています」。頼んだ額の二倍の額をカンパしてくれる同胞、何気ない会話を機にハッキョのコンピューター入れ替えのための募金運動を始める日本の人たち、そんな人々の善意に触れるたびに、活動家ならではの喜びを感じるのだと言う。
「朝青時代にすべての土台が築かれる」という李幹事長の言葉は、兵庫県の青商会会長の言葉(48号)でもあった。それを聞きながら、前号までのインタビューを思い出していた。
留学同東海地方本部の金秀烈副委員長は、「活動家はお金もないし、かわいそうというようなことを言われますが…でも自分は絶対あきらめないし、そのために留学同で一緒に頑張る先輩や後輩たちと頑張ります。決して負けない、譲らない、曲げないというバイタリティーはつきました」(49号)と強い意気込みを、朝青京都府本部の金英鉉委員長は「支部はいいです、同胞と近いので。同胞と会うのは楽しいです」(48号)と活動の楽しさを、朝青栃木県本部の文炯駿委員長は「活動家をしたくてもできない人達がたくさんいます。そんな中で今もさせてもらっていることへのありがたみと、活動家という職業があることへの感謝、専任としての覚悟を持たなくてはいけないという気持ちを原動力に、自分が果たすべき責任とは何かを常に考えて活動したいと思っています」(47号)と感謝の気持ちを話していた。「一心に」「同胞と近い距離で」「感謝の気持ちを忘れずに」という総連活動の、活動家の土台はしっかりと受け継がれているようだ。
李幹事長は「先生たちは卒業式をすると先生をやめられないといいますが、それは三六五日の積み重ねがあってそう言えるのだと思います。活動家も二一年の間に積み重ねられたことがいろいろあって、今回おそらく青商会は卒業することになると思うのですが、やめられないのだと思います」と活動家という職業への愛着を語る。
李幹事長が「誇り」だというセッピョル学園には、毎年驚かされ、感動させられる。初中級部生たちを楽しませるためにという一心で、演劇を準備し、運動会や焼き肉の準備に走り回り、文化祭もほぼ準備して中級部生に最後に花を持たせる高級部生。彼らはきっとテキパキと仕事をこなす先生を見習っているのだろう。初級部の子たちを二泊三日、面倒見る先生たちは体力の限界に挑戦している。にもかかわらず最終日には手作りの表彰状やメダルで三日間の子どもたちの生活態度を表彰する。細かい配慮に頭が下がる。食事の準備を任せられたオモニたちの負担は想像以上だが、いつも子どもたちを笑顔で迎える。今年は文化公演で歌まで披露して子どもたちの喝采を得た。歴代学園長やアボジたちの姿を多く見かけた。食事の準備に忙しいオモニに代わってか、幼い子どもの面倒を見ているアボジも多かった。閉園式で感想を述べる学年の代表たちは初級部一年から中級部三年まで皆、楽しい学園を支えてくれた青商会やオモニたち、先生たちへの感謝を述べていた。
「もっと人が集まる場を作って、コミュニティーを活性化させなくてはと思っています。青商会だけではなくて、朝青や女性同盟もこぞってそういう機会を作っていければと思います」。子どもたちは、李幹事長のこんな思いの大切さを、セッピョル学園での体験を通じて理解しているはずだ。総連活動の基本は、朝青世代はもちろん、セッピョル学園の児童生徒たちにもしっかり受け継がれている。
ますます強まる日本政府の弾圧と、困窮する財政、朝鮮学校児童生徒の減少、と厳しい状況が続いている。しかし取材を通じて感じるのは、それを打開して新たな局面を開こうと先頭を走る同胞の強い意志と、それをフォローする為に切磋琢磨する活動家の度量の広さ、さらにそれを支える同胞と日本の人たちの創造的で自主的な活動への頼もしさだ。
来年のセッピョル学園が今から楽しみだ。50
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