10年目迎えたセッピョル学園は誇り。同胞のつながり広めたい

震災後は栃木で千人集まって運動会

金運動会はいつからするようになったのですか？

李最初にしたのは第三回、栃木で開催した時でした。
この年の三月に東日本大震災がありました。東北、福島、茨城で被害が大きかったうえに、余震が続きました。開催については反対の意見も多くて、難しいのではないかいう見方が大勢でした。茨城ハッキョの春の運動会の前日に、各県から集まった青商会のメンバーたち三〇人ほどで食事をしたのですが、その時も意見が分かれました。ところが第一回と二回のセッピョル学園長が、一度途絶えると再開は難しくなる、六月が難しいなら九月にでもと、開催のために各地を奔走しました。そんな中、栃木の青商会が手を挙げてくれたのです。校長会での栃木ハッキョ校長先生の涙ながらの説得など、子どもたちを思う青商会や先生、保護者たちの不安との葛藤の末の決断でした。あの時、栃木青商会が手を挙げてくれなかったら、二年に一回、三年に一回になっていたかもしれないし、今のように続いていなかったかもしれません。

栃木には寄宿舎がないので風呂は大衆浴場に行かなくていけません、大人数を賄う食堂もありませんでした。なので日程を一泊二日に短縮して、メインイベントとして運動会を開催することにしたのです。この時には南からモンダンヨンピルも訪ねてきてくれて一〇〇〇人近い人が集まりました。運動会の後運動場で焼き肉をして盛り上がりました。

この時を機に運動会がいいという意見が多くて。実は今年は歌劇団公演もあるので、運動会をやめて、歌劇出演者やサッカーや空手の選手を呼んで、クラブ体験をしようという意見もあったのですが、児童生徒は運動会をやりたいということで却下されました。

金運動会は準備が大変なのでしょうか？

李準備もそうですが、運動会をすると午後の時間を全部充てることになります。低学年のお昼寝の時間も取りたいし、目新しい企画をいろいろ取り入れたいのですが、子どもたちは運動会の方がいいようです。生徒数の減少で、各学校の運動会では学年別や男女別の競技や、騎馬戦や棒取りなどの団体競技がほぼできないのが実情です。なのでセッピョル学園の運動会を楽しみにしている児童生徒が多いようです。

金応援もできますしね。

李三週間前に茨城ハッキョの運動会があったのですが、多くの同胞たちが来てくれて参加者の数はセッピョル学園の三倍ほどでした。ところが児童生徒の数はセッピョル学園が圧倒的に多いので、応援が違うんですね。最近は入場行進もして、練習の時からあまりにも真剣なので、見学に来た保護者が本番と間違えるほどです。特に今年は北海道の高級部生徒も五年ぶりに参加して、茨城の高級部生徒たちもうれしかったと思います。

金四回目以降はまた茨城ハッキョで開催することになったのですね。

李実は三回目に栃木で開催した時に、次は震災で一番大きな被害を受けた宮城でやろうということになったのですが、いろいろな事情で難しくなり、場所は茨城ハッキョで、学園長は宮城青商会が務めることにしました。この時から場所は茨城ハッキョにして、学園長は各県の青商会が持ち回りですることになりました。

金学園長の役割は具体的にはどんなものなのでしょうか？

李まず開園式と閉園式のあいさつです。あとは学園長によっても違うのですが、栃木でやったときは費用負担が大きかったと思います。風呂も大衆浴場に行かなくてはいけなかったし、食堂がないので弁当を頼みました。おととしの栃木の李永秀学園長は朝早くから夜まで三日間つきっきりで参加していましたし、去年の宮城の金聖真学園長はオモニたちが苦労したからと言ってアイスクリームを差し入れていました。第五回の群馬の千容植学園長は、大きな鍋で、全員でカレーを作るイベントを企画していろいろ問い合わせて準備したのですが、雨が降ったらどうするのか、やけどなど事故の安全策はどうするのか、ということで実現できませんでした。学園長をいろいろな県の保護者が担当することは良いことだと思っています。何よりも子どもたちが自分の地元の顔見知りのアボジが学園長をすると、喜びます。