ウリハッキョを発信の場にスタートした「坂道ぷろじぇくと」
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インタビューを終えて
金淑子
一月最後の週末に近畿に出張した。大阪で、小学校二年の頃に4・24教育闘争を体験した姜善和女性同盟顧問の話を聞いた翌朝、神戸駅のコーヒーショップで兵庫県青商会の趙寿來会長と徐正斗幹事長の話を聞いた。
九月に予定されているフォーラムについて聞きたかったが、当日まで秘密だとのこと。しかし一昨年の大阪でのフォーラムで副会長たちが次々回フォーラムをやろうと提案したことや展開中のBECAUSEプロジェクト、昨年一一月に催したウリハッキョ児童生徒の芸術公演などの話を聞きながら、兵庫青商会が、二一世紀の豊かな同胞社会、そしてその核である民族教育の発展を目指して、力強いスタートを切っている様子が伝わってきた。「豊かな同胞社会とは」という問いについて常に頭を巡らしているようだった。
印象的だったのは、会長と幹事長のあうんの呼吸だ。会長は「なんやかんや言っても幹事長が怖いんです」と冗談のように言っていたが、互いを理解して尊重している姿が快かった。口数は少ないものの要点をきっちり締める徐幹事長に、専任活動家の役割を改めて教えられたように感じた。
趙会長は、父親の背中を見て育ったことが今日の活動につながっていると言った。44号でインタビューした愛知の李栄祚さんもそんなことを言っていた。男性にとって父親の背中とはそんなものなのだろうかと考えた。
翌日、朝青京都の金英鉉委員長を京都駅近くのコーヒーショップでインタビューした。礼儀正しい好青年。質問すると、少し考えたあと柔らかな声で答が返ってきた。
奇しくも趙会長が「組織の骨組みは朝青で形成される」と朝青活動の大切さを強調した翌日だった。
「様々な背景を持った朝青員たちが集まる場をどのように作ればいいかを考えるようになって、頭をたくさん使いました」。
「同胞たちの中に平素は外に出していなくても、祖国や民族を愛する気持ちが必ずあるということです。それを私たちが刺激すれば必ず表面化されます。その瞬間がうれしくて、それを知ってから活動が楽しくなりました」、「支部はいいです、同胞と近いので。同胞と会うのは楽しいです」。
様々なシーンを思い浮かべるように話す金委員長は本当に楽しそうだった。「朝青というのは本当、無敵なんです。同胞たちが集まっている場所に行くと皆が、『朝青トンム!』と声かけてくれて、マリオで言えば、スターをゲットした状態なんです、常に。そういう時だからこそ、一番愛されている時だからこそ、大きなことができると思っています」とも語った。
そうして在校生や卒業生、近隣に住む日本の人々を巻き込む「坂道プロジェクト」を発足させた。
兵庫青商会が掲げたのが「豊かな同胞社会」、京都朝青が掲げたのが「同胞第一主義」。いずれもハッキョを核にした地元密着型だ。
在日朝鮮人を巡る日本社会の環境はいつになく厳しい。そんな中でも、同胞たちのために地道に活動する有能な若い世代がしっかりと育っている。46号から若い世代へのインタビューが続いたが、話を聞くたびに民族教育への誇りと明日への手応えを感じる。48
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