ハッキョサラン全国に伝え 通学バス購入資金作る

新年度は新たな目標、企画で

金オモニ会としてはバトンタッチの時期ですが。

秋今までは決まった人たちが役員をしていたのですが、今年からは次の世代を担っていくであろうオモニたちも入って、そこから変わっていくと思うんですよね、どんどん。

金お金を残そうということには変わりなく。

秋基本はそれだと思います。ウリハッキョを支えるためにはそこが大切だと思います。

金次の企画は？

河まだ秘密です。これから企画開発部がプレゼンするそうです。

金じゃあ、これからも手を変え、品を変え…。

河今回はバスの購入という目標でしたが、また新しい目標を掲げて、子どもたちに還元していきます。そうしながらオモニたちのきずなも強めて、外にも宣伝して。

秋最近はバザーなんかに来てくれる日本の方たちが本当に増えました。

金オモニ会の活動をして何年になりますか？

秋十二年ですね。過ぎてみるとあっという間です。初めて役員をしたのが上の子が初級部四年生の時でした。それまではオモニ会が売るものを買うくらいで受け身でしたが、役員をしてみて大変さやいろいろなことがわかりました。とはいっても当時は先輩のオモニの数も多かったし、決まったことをこなすという感じでした。

河オモニの人数は減っているんですが、やることはどんどん増えて。

金いつ頃からですか？

秋メアリフェスタが始まったころ、四年ほど前からでしょうか。

河メアリフェスタという学校のバザーがあって、主にオモニ会でフードを準備するんです。

秋それが年間で一番大きな行事ですね。

金オモニ会の年間行事にはどんなものがあるんですか？

秋キムチや麦茶の物品販売、年に二、三回、食堂のオモニがお休みの時に、オモニ給食をやります。給食は女盟オモニたちも二回ほどしてくださいます。あと運動会など行事のたびに売店を設けて、去年は、上田地域からの通学バスを維持するための東信支部主催のバザーでも、オモニ会からキムパプを販売させていただきました。

河上田からハッキョまでは、有料道路の山道を超えて一時間以上かかります。その通学バスの維持費を上田地域の学父母と同胞たちで賄うことになっているんです。そのために何年も前から行われているバザーで、そこの売り上げがガソリン代や車検代などに補てんされます。

秋そこにオモニ会が、去年からキムパプの売店を開かせていただくようになりました。この時は売り上げの一部を東信支部にお渡しして、残りがオモニ会の財政になります。ハッキョバザーの売り上げはそっくりハッキョに寄贈します。あと｢韓の蔵｣という韓国食材のカタログがあって、オモニ会で一斉に注文を受けて大量発注することで、発注金額の数％をオモニ会に還元してもらえるようにあるオモニが交渉してくれて、それも大きな財源になっています。これはおととしから始めました。

河それもオモニたちがパート先の日本の人たちに宣伝して注文を受けてくれたりして、そしたら口コミで広がっていって。金剛山歌劇団の公演の時も、売店を設けてお餅なんか、物販しました。

秋それも大きかったです。

河あと学期に一度、地域ごとに集まって食堂の掃除をします。

秋ベルマークやテトラパックの収集もしています。

河何せやることがいっぱいあります。販売については、注文用の袋に注文の品と個数を書いてお金を入れてもらいます。そうして集まったお金を私が回収して、集計して業者に注文して届いたらまた皆で仕分けしてという作業が大変です。

金その拠点があの作業部屋ですか？

秋去年からそうなりました。それまでは学校の図書室や多目的室を借りていたんですが、去年からは女盟の部屋を利用できるようになって。本部委員長は活気があっていいと言ってくださいます。

金オモニ会のメンバーたちの息抜きの場は？

秋集まって話すことでしょうか。

金一緒にカラオケに行ったりはしないんですか？

秋しますよ。昨年度の役員はそういうことにも積極的でした。打ち上げという名目で。でもその楽しみがあるから頑張れます。これさえやり終えればと。

報道を笑いに変える場が必要

金秋さんはあと一年で子どもたちが卒業しますよね。その後はどうするんですか？

秋私たちの年代と私たちの親の年代の間の年齢層のオモニたちがあまり出てこられなくて。大阪の実家の母も一生懸命活動しているんですが、やはりあっちでもそうだと聞きました。どうしてでしょう？

河いい思い出がないんでしょうかね。時代がよくなかったのかもしれない。

秋本当はオモニ会ＯＢとして女盟の活動をしている世代なんですが、その世代が抜けているので、私たちの世代がオモニ会と分会の役員を兼ねている状態なんです。

河一人何役も担っているんです。

秋本当はオモニ会を卒業した人たちがそこを埋めてくだされば、学父母はオモニ会の活動に専念できるんですが。

金じゃあ、ＯＢ会を作っていかなくてはいけないんですね。

河そうです、必ず。

金オモニ会や女盟など、そういう同胞たちが集う場所は必要だと思いますか？

秋必要です。ないともう、ばらばらになってしまいます。

河いったん行かなくなってしまったら、行きづらくなるんでしょうね。

秋でも私たちは同胞たち独特のこのノリが落ち着くというか…。政治のこととか難しいことはわからないけれど、ただ好きなんです。

河集まって騒いでね。

秋今回、金正男さんが亡くなった事件が騒がれていますけど、｢本当にウリナラは！｣っていう人がいれば、｢何言ってんの、あれは韓国だよ、ウリナラがそんなヘマするはずないじゃん｣という人もいて。

金外からずっと攻撃されているので、中でそれを中和するしかないですよね。

河笑いに変えるしかありません。

秋わからないじゃないですか、真相は。でも報道だけ聞いて、あれこれ言う。日本人はもちろん、同胞の中にも鵜呑みにして失望している人がいますよね。

河それから始まって、ウリハッキョが嫌だという人もいます。

秋でもこういう場があるから｢何言ってんの、韓国だよ、だって最初に報道したの韓国じゃない。おかしくない？｣って話になったり。

河みんなで飲みながら討論して。

金でもそういうことを話しながら最後は笑いに変えられる場所があるというのはいいですね。

秋そういう場がないとやっていけないです。だって報道で私たちにいいことなんて何もないですもの。

金日本社会でシュンとしているしかないですものね。

秋私は今訪問介護の仕事をしているんですが、訪問先でもそういう話をよく聞きます。｢ほんと北朝鮮って国は怖いね｣って。私もあえて自分が朝鮮人だとは言わないんですが、それでも｢何が本当かはわからないですよ。逆に見れば北朝鮮ってすごい国だと思いませんか、あんな小さい国がどこにも媚び売らず頑張っているなんて｣と言ってみたりします。(笑)

金肩を落として生きなくていいのは、やっぱりウリハッキョがあるからでしょうね。

河そうです。

金五十代がいないと、お姑さんの年代になりますね。

秋そうなんです。

河三〇代で分会の役員になっている人もいます。

秋女盟のオモニたちは、世代交代の時期だとおっしゃいますが、子どもたちにお金もかかりますし、まだ先の話かなと。

河女性同盟の役員たちは｢六〇じゃないのよ、もう七十なのよ｣っておっしゃいますが。

秋とりあえずはオモニ会ＯＢとして頑張って、そのあとで、と言っています。

他校のオモニ会活動が励みに

金学校を守るためにはどうすれば？

秋この気持ちを絶やすことなく、やるべきことをやっていくしかないですよね。

河今日も青商会がハッキョのトイレを掃除していますが、あそこにも新婚さんが何人かいるので、その人たちも子どもが生まれたらウリハッキョにという人たちだし。昔はそういう活動をするのがオモニたちしかなかったけれど、今は青商会があることによってバックアップする団体が一つ増えたので。

秋青商会の力は大きいですね。

金じゃあ、悲観することばかりではないということですね。

河はい。

金見えている未来はある？

秋正直未来はわからないですけれども、現実問題として生徒数がぐっと増えることはもうないでしょうし。

河生徒数が増えることはないと思いますが、減りながらも幼稚班から中三まですべてのクラスがあるので、それが何年かしたら欠けるかもしれないけれど、でもハッキョはあり続けると思います。

金一人のクラスもあるんですか？

河幼稚班は一人の年代がありますね。合同クラスになりましたが。

金ほかのオモニ会へのアドバイスは？

秋ほかのオモニ会もいろいろやっていますよね。

河地域の特性に合わせて。東大阪初級学校はトートバックを作っていますよね。ラインスタンプも東大阪だったと思います。千葉かどこかは虫よけスプレーだとか。私も各地のオモニ会から情報を仕入れて、参考にしています。ファイスブックにオモニ会活動というサイトがあるんです。そこでいろんな地域のオモニ会のフェイスブックを紹介していて、それをよく見ます。

金そういうのは励みになりますか？

河はい。タンブラーもそこで宣伝したら広まったんです。長野ハッキョオモニ会でアップした後に個人でシェアすれば友だちにも広がるし。

秋同胞の全国ネットワークはすごいと思います。

河朝大に行った人は全国に友だちがいるので、ほかのハッキョのニュースを見ながら、あの子はこういうことをしているんだとか、同級生がいたとか、サイトを開いては知り合いを探します。向こうもそうだと思います。そういうつながりで注文が来たりもして。知らせることによって誰かが見ているから、答えが来ることもあるし。

秋今回、朝鮮新報の取材で動画に出たりしたんですけど、それを見た昔の同級生が連絡をくれたり。同級生の兄弟が見て、知ったとか。