映画「ウリハッキョ」公開から十年:朝鮮学校守る同志でありたい
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「手伝う」から「自分の仕事」に
一緒に夢を見ようと
金昨日の総会で事務総長として今年一年も活動することになりましたが、モンダンヨンピルは人生においてどんな存在ですか?
金監督もともと団体活動をするなどとは思ってもいなかったし、決して得意でもありません。いつも頭の中には、本来の生活に戻らなくてはという気持ちがあります、今も。テーマはいいとしても、これは自分のやり方ではないと思っていました。
でも今はこれも自分の仕事だと考えるようになりました。自分の営みの一部分として。これまでは「ウリハッキョ」という映画を作った自分を必要とする人たちへのサービスと思っていたのですが、今はモンダンヨンピルの人たちと一緒に何かできるのではないかと考えるようになりました。団体活動は私には似合わないのです。これまで五回も総会をしながら、指摘されることも多くて、いまだに慣れないでいます。でも今はこの人たちと一緒に、おぼつかないことも多いのですが、何か一緒に夢を見られるのではないかと。
金いつからそう思うようになったのですが?
金監督この一、二年です。
金歳月の積み重ねが変えたのですか?
金監督偶然もあるし、いろいろありますが、何よりも私が幸せになるためにはそう考えるのがいいし、映画を作りたいのですが、本来二つのことを同時にできる性格でもないし。気持を楽に持とうと思います。今すぐにこれをしなくてはと自分を追い込むよりも、今の仕事を自分の仕事として受け入れた方が映画について考える余裕も生まれるし、すべてを受け入れようと思っています。朝鮮学校と出会って始めはいい印象ばかりで、そのうち抱えている痛みや見たくない部分も見えるようになって、今もう一度仕切り直して、自分は何をすべきなのか、どの部分を見るべきなのかと思ったように、ここでも始めは何もかもよかったけれど、次第に皆が同じ気持ちで集まったわけではないことがわかって、困難な時期を経て、ようやく一歩前に進もうとしているような感覚、それを感じたのが昨日の総会でした。
金大切な総会でしたね。
金監督そうです。一緒につらい思いをした人たちが参加しました。私には大切な時間でした。良い雰囲気で終わってうれしかったです。
金モンダンヨンピルの活動をしながら個人的に考えていることもあるのですか?
金監督これまでそういう質問をされると、体面を保とうとしていました。でも映画を作ると言うことは、一人でできることでもないし、精神的にも時間的にもそういう余裕がない状況で、今は 簡単に口にすべきではないと思っています。今年はモンダンヨンピルでやるべきことが山積みなのでそれに集中しようと考えています。来年くらいまではしっかりとこの仕事をやってみようと。そうして誰かに仕事を分担したり、協力を得ることも含めて効率的に仕事をこなせるようになれば、少し余裕ができるはずです。とはいえ映画というのは計画通りにできるものではないので、ある時突然何かをしながらふと閃いて、撮らなくてはと思うこともあるはずです。そういう閃きを待っているところです。
朝鮮学校との出会いが変化を
政治的でないことも長所
金昨日総会に参加しながら、朝鮮学校と共にする韓国の人々の集まりという思いを新たにしました。韓国での日常は大変忙しい。そんな中で時間を作って会費を出して参加するのはなぜ?
金監督朝鮮学校を通じて同胞社会と出会い、ひいては分断の問題について考えるようになったのだと思います。
モンダンヨンピルでは、初めて来た人もすぐに打ち解けられるといいます。何しろ楽しいです。雰囲気がいいです。それはクォン・ヘヒョ代表の影響ではないかと思います。集まる人たちに私心がない。何よりも大切なことは、朝鮮学校を訪ねると皆そうなるということです。
私が初めて朝鮮学校に出会ったときの感覚、偏見やこれまでの人生で積み重ねてきた様々なものから湧き上がる複雑な感情、これをどうして受け止めればいいのかという戸惑い、感動を行動に移したいのに、そういう空間が見当たらなくて。「ウリハッキョ」の映画を見たときも、何かできるのではないか、手助けになれるかもしれないと思った人がたくさんいました。あの時にモンダンヨンピルがあれば紹介できたのですが。当時は閲覧数が急上昇したサイトもあったのですが、限界がありました。
私たちは何よりもハッキョを見て、子どもたちと会うことが、変化を促す大切なきっかけになると思いました。会いさえすれば、もっと知りたくなるだろうし、また会いたくなるだろうし。そうしている過程で自分の生活が変わって、韓国の社会に自分の感動をどうして伝えようかと考えるようになります。それが何よりも大切だと思ったのです。
金昨日総会に参加しながら、善良に生きようとする人の集まりなんだなという印象を強く受けました。
金監督私もこの活動をしながら驚きました。こういう人たちが思いのほか多いのだと思います。韓国社会だけではなくて、人は本来そういうものなのだと最近感じています。「善いもの」を見て、「善いことをして」生きたいと思う人が多いようです。
金現実が厳しいからでしょうか?
金監督それもあるでしょう。モンダンヨンピルが政治的でないということもよい点の一つです。
金政治的なことを排除するというのはむつかしくはありませんか?
金監督もちろんここに集まった人たちは進歩的な人たちが多いです。とはいえここで進歩だ、保守だという自分の考えを主張することがプラスになるわけではありません。「朝鮮学校」とつながろうというところに保守的な人が来ることは多くありませんが、そういう人が来ても自分の考えの一部を見直して対話を交わすようになったりします。実際に保守傾向の強かった人がモンダンヨンピルに出会って考えを変えたという例もあります。
金出会うことが大切なのですね。
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