「高校無償化」からの朝鮮学校排除問題の経緯
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*「国際立憲主義の実現を! 〜国連人権勧告と憲法〜」(2016・12・10)集会で配布された資料
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もくじ
〈2010年〉
1月29日 民主党政権、「高校無償化」法(公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律)の法案を国会提出 2月21日 中井洽拉致担当大臣が川端達夫文科大臣に「高校無償化」から朝鮮学校を排除するよう要請との新聞報道 3月31日 「高校無償化」法が成立 *外国人学校と正規校(1条校)を同等に扱う画期的な法律
4月1日 「高校無償化」法施行規則(省令)公布。ただし、施行規則1条1項2号ハ(朝鮮学校への適用が想定される規定・分類)については、専門家による検討会儀を開き、夏ごろまでに結論を出すと国会答弁。
4月30日 「高校無償化」の対象となる31校の外国人学校が指定(施行規則の規定イによる韓国学校やブラジル人学校など14校、規定ロによる国際学校17校)。規定ハ(朝鮮高校など)は、適用留保(当面除外)。
8月4日 北朝鮮による拉致被害者家族連絡会・北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会連名で朝鮮学校への適用反対を声明
8月31日 川端文科相、専門家による検討会儀の報告書「高校の課程に類する課程を置く外国人学校の指定に関する基準等について」を公表
*「高校無償化」を適用するかどうかは、「専修学校高等課程の水準を基本とする」「制度的・客観的に把握しうる内容によることを基本とする」「外交上の配慮などにより判断すべきものではなく、教育上の観点から客観的に判断すべきものである」「個々の具体的な教育内容については基準としない」という内容。
11月5日 高木義明文科相、朝鮮高校に適用される「法施行規則1条1項2号ハの規定に基づく指定に関する規程」と大臣談話を公表 11月24日 菅直人首相、前日の延坪島砲撃事件を受け、朝鮮高校の審査手続きを「凍結」
〈2011年〉
2月4日 朝鮮学校側の「不服申請」への文部科学省の回答 「平成22年11月23日の北朝鮮による砲撃が、我国を含む東北アジア地域全体の平和と安全を損なうものであり、政府を挙げて情報収集に努めるとともに、不測の事態に備え、万全の態勢を整えていくことが必要であることに鑑み、当該指定手続きをいったん停止しているものである。」 7月1日 高木文科相、「高等学校等就学支援金の支給に関する審査会」設置
8月29日 菅首相、審査手続きの再開を指示
8月30日 高木文科相、規定ハを適用し、ホライゾン・ジャパン・インターナショナルスクール(神奈川県)を指定
12月8日 中川正春文科相、規定ハを適用し、コリア国際学園(大阪府)を指定
〈2012年〉
9月12日 日本政府、社会権規約13条2項b、c号の留保撤回を国連に通報10月25日 北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会『朝鮮学校の秘められた目的・知られざる実態』を全国会議員に配布
12月26日 第2次安倍政権成立 12月28日 下村博文文部科学大臣が定例記者会見で朝鮮学校排除を発表 *排除の理由は「拉致問題の進展がないこと、朝鮮総連と密接な関係にあり、教育内容、人事、財政にその影響が及んでいること」
〈2013年〉
2月20日
- 文部科学省が朝鮮高校を排除するための省令改定 *「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律施行規則」第1条第1項第2号ハの規定を削除。
- 下村文科相、朝鮮高校10校に「高校無償化」に不指定を通知 *理由は、(1)規定ハを削除したこと(2)指定に関する規程13条に適合すると認めるに至らなかったこと。
5月21日 国連・社会権規約委、日本審査後の総括所見で「朝鮮学校除外は差別」と指摘
〈2014年〉
8月28日 国連・人種差別撤廃委、日本審査後の総括所見で「朝鮮学校への無償化の適用、自治体の朝鮮学校補助金の復活・維持」を勧告41
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ハッキョと子どもたちを守る市民の会
在日朝鮮学校差別反対第一〇〇回金曜行動に際しての記者会見文
日本政府と司法は、朝鮮学校への「高校無償化」不指定を撤回せよ!韓国政府は、同胞の人権保護に積極的になれ!
二〇一四年に始まった金曜行動が今日一〇〇回を迎えた。
日本の朝鮮学校への制度的、法的差別に反対して開始された金曜行動が一〇〇回に及ぶ間、日本政府の民族差別政策が中断されるどころか、さらに深刻になって、私たちの同胞と学生の被害も大きくなったという事実に、私たちは怒っている。
日本安倍政府が二〇一三年に「高校授業料無償化(高校無償化)」制度を施行するにあたって 「各種学校」の認可を受けた外国人学校の中で唯一、朝鮮学校だけを排除する差別的決定を下して以来、毎年国連社会権規約委員会、人権差別撤廃委員会などの国際人権機関が日本政府の措置を「差別」と規定して「高校授業料無償化制度を朝鮮学校に通う子どもたちにも保証することを要求」し、「地方自治体の補助金支給再開または維持する要求しなければならない」と勧告する決定をしてきたのに、日本政府はこれを徹底的に無視している。
そのうえ去る三月二九日には、日本の文部科学省が、朝鮮学校がある都道府県知事宛に、馳文部科学大臣名義で通知を送り、各地方自治体が判断する朝鮮学校への補助金の支払いについてまで「注意」を促すとして、事実上、地方自治体の補助金を牽制する通知を送るなど差別的な措置をさらに強化した。
数十年間、日本社会の中で認可されてきて、教育機関としての役割をしてきた朝鮮学校に対して「北朝鮮との関係」を前面に出して差別措置を取ることは、韓半島の分断状況と悪化した日朝関係を利用して社会から保護されるべき青少年を制度的に差別する犯罪である。
文明社会では、到底容認できない民族差別であり、人権侵害である。日本政府は、児童と青少年を犠牲者にして差別政策を繰り広げる俗悪で稚拙な人権蹂躙を直ちに中断せよ!
日本政府の差別政策に抗議して朝鮮学校の生徒と朝鮮学校が「高校無償化」不指定の撤回を要求しておこした訴訟で、来年初め大阪地域から裁判所の判決が下されるという。
私たちは、日本政府と司法が平等な権利を保障し、教育上の差別禁止を規定した日本国憲法と法律、そして、国際人権規約に基づいて、日本社会の一員である朝鮮学校に「高校無償化」による支援と地方自治体の補助金交付を行い、平等な教育権を保障することを求める。