青商会IT部会主催 プログラミング教室
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一〇月の日曜日、在日本朝鮮青年商工会(青商会)IT部会が主催するコリラボ・プレイスにお邪魔した。場所は上野の朝鮮商工会館、五月以降ひと月一回のペースで開催されていて今回が五回目になる。参加者は定員六人のところ三人、幼稚園児もいた。この日はスクラッチやマインクラフトで、それぞれがテーマをもってプログラミングに挑んでいた。
神奈川朝鮮中高級学校生徒たちが参加するロボコン大会の会場はいつも、出場者と保護者、学校やプログラミング教室関係者で熱気にあふれかえっている。各地にプログラミング教室ができてにぎわっているという話も聞いた。なので参加者の少なさには正直驚いた。
指導の合間にICT部会会長の黄聖浩さんに話を聞いた。
「幼稚園児がやっているのはマインクラフトというモノづくりゲームで、斧やスコップを使うと穴が掘りやすくなったりします」と黄会長。画面には立方体のブロックでできた木や土、鉱物、動物の世界が広がっていて、ブロックを使って家でも巨大建造物でも謎のオブジェでも自由に作ることができる。洞窟の中や暗い夜にはモンスターと闘い、畑を耕して、農産物を育てて、食べ物を手に入れることもきる。「コンピュータは進化しすぎて難しいと考えている人が多いと思うのですが、こういうゲームを通じて身近に感じてくれればいい」という。
また黄会長は「私がやろうとしているのはプログラミングですが、文科省がやろうとしているのは、思考的なプログラミングでちょっと違う。論理的に考えるためにはどうすべきかということのようです」
文部科学省が公表している今年七月の「二〇二〇年代に向けた教育の情報化に関する懇談会」の最終まとめには、「全ての生徒がプログラミングを学ぶこととするとともに,中学校においては計測・制御に加えて動的コンテンツ等に関するプログラムを学ぶようにすること、小学校においてはプログラミングの体験的な学習機会を確保することなどが検討されている」と記されている。十年後の若い世代の思考には、プログラミングをパターンにしたより論理的な考え方が取り込まれるようになるということなのだろうか。
とはいえ黄会長も、家庭では平日に子どもたち(初級部と幼稚班)がコンピュータに触ることを禁じている。「平日は本を読んだり学校の宿題をしたり。やはり読み書きできないと何もできない。本もまだ紙でいいかなと思っています」という。
「コンピュータを子どもに触らせたくないという親は、自分たちがわからないものに子どもが触って、なんかあったときにどうしようという不安があるのだと思う。日本の人たちともこういう活動をしているのですが、自分たちはわからないので教えてくださいという親が多くてすごいんですよ。わからないからよろしくお願いしますと」。ICT部会主催のこういう教室は安心して子どもを任せられるまたとないチャンスではないだろうか。
昨年と一昨年、ICT部会では朝鮮大学校で理学部と教育学部の学生たちとともにコリアンキッズラボを開催した。この時は学校への働き掛けもあって二〇~三〇人の子どもたちが参加したという。今年は大学創立六〇周年ということで、学生たちが忙しすぎてまだ開催できていない。
この日の取材を通じて感じたのは、青商会の子どもたちを見守るまなざしの温かさだ。参加者は少なくても、毎月こうして開かれる教室があって、子どもたちが必要だと感じたときにいつでも迎えてくれる専門家集団がいることは心強い。ウリハッキョを中心に全国のいろいろな立場の大人たちがつながることで、在日朝鮮人の子どもたちの活躍の場が広がって、世の中に羽ばたくための踏み台の層が厚くなればいいと思った。(淑)40