会って、話して、理解しあえる社会を目指して
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話を聞いて、自分の考え伝える力育てよう
金毎週三百人以上のコメントを読むんですか? 大変ですね。
こうのすけそりゃ大変ですよ。読んでがっかりするようなことが書いてあることも多いし。でも時々鋭い指摘や思わぬ批判もらったり、なるほどと思ったり、本当に理解できていないなと反省したり。
去年、就活に東京に行った学生のコメントに対して、「関東圏はかなり放射性物質に汚染されているから、気を付けよう」と言ったら、福島県出身の女子学生が、「そのコメントを聞きながら私は涙が出てきた。ひどい。被災地を侮辱している。私は大学を卒業したら地元に戻って長生きして、こうのすけが言ったことが嘘だということを証明して見せる」と書いてきたことがありました。それも紹介したんですが、放射能に対する過剰反応だと、彼女に同情する反応が多かったです。
独島・竹島の話でも、「僕は島根県出身ですけど、そんなこと知りません」とか。県では「竹島の日」(二月二二日)を制定しているけど、県民にはあまり浸透していないみたいですね。「故郷は長崎ですけど、放射能のことは心配していない」とか、広島もそんな感じで。
あと、今年はフリートークということで、カードを読む前に、近くに座っている知らない学生とペアを組んで一つのテーマについて七分くらい時間を与えて、自由に話し会う時間を作っています。たとえば「十年後の私はどこで何をしているか」とか、「今回の沖縄の事件をどういうふうにとらえているか」とか。相手の意見を聞くことと自分の意見を言うことで学生はとても新鮮な経験をしています。これをきっかけに「知らない人と友だちになれた」とか「留学生と友だちになれた」とかなかなか好評なのです。
今年春に起こった沖縄米軍属の日本人女性殺害事件に関する授業の感想で、沖縄出身の学生と話した学生から、「自分の友人で父親が米軍で働いている人がいるので、やはり基地が必要だという話をしてくれた」とカードに書いてきた学生がいました。でも軍に依存しなくても沖縄でほかの仕事を生み出せばいいのではないかと投げかけたりするんですが。
そういうことをしていると時間が足りなくなってしまうことはよくあるけれど、おおむね好評です。コミュニケーションカードやフリートークを通して話をしようと、話をしないであいつらはどうだこうだということがあまりにも多いので、相手を知るために、まずは相手の話をちゃんと聞く、そして自分の考えを相手に伝える力をつけようということです。潤滑な人間関係、差別のない社会で隣り合って暮らす。誰からも好かれるなんてことはないから、自分の限られた時間、自分の大切な人と、どうやっていい時間を持つかを考えてほしいと。朝鮮人に対する差別に関しても、上から目線ではなく、フラットな視線から対話できる関係を作ってほしいと。
こういうちょっとした工夫で、学生も少しずつ動き出します。中学や高校の時に親しくしていた人が在日朝鮮人だったとか、ゼミに留学生がいたとか、昔の友だちと会って授業でこんなことをしているけど、あのころどう思っていたのと話してみたとか、家に帰って親兄弟と授業の話をするようになったという反響を聞きます。
「うちのお父さんは非常に差別的だ」「お母さんは意外とよく知っていて、話が盛り上がった」とか、いろいろあるんだなと。小さなアクションですが、講義の内容をネタにして会話してもらえばいいなと思います。これが大きな第一歩になると思います。
いつも「何か一つ具体的なアクションを」と言っているんです。自己変革・社会変革の第一歩ということで、どこかに行ってみる、誰かと話してみる、「親兄弟友達と話すようになった」「テレビでキーワードが引っかかったからしっかり見ていた、今までならすぐにチャンネルを変えていたのに」という感想が多かった。秋学期も自分なりに続けてくれればいいなと思っています。自分の課題設定をして追及してくれれば。
金人種差別・ヘイトスピーチ・日本軍「慰安婦」問題・朝鮮学校をとりまく問題の三つはいつも授業で取り上げているんですか?
こうのすけそれが日本では象徴的な問題で、似たようなことは世界にもいっぱいあると思うので。今回は沖縄の事件が尾を引いて、他人に暴力を加えるということがどういうことなのかを考えてほしいし、日本軍「慰安婦」問題に関しては日朝・日韓だけの問題じゃないということにも気付いてほしい。学生たちはなんで日本ばかりが非難されるのかというけれど、戦時性暴力というのがあって、韓国もベトナム戦争での残虐行為の振り返りをやっているし、諸外国だって兵士と売春に対する取り組みはあるよ、ちゃんと調べてみてと、いうんです。
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