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大学生たちに「朝鮮韓国在日観アンケート」
金同志社大学では講義の最初に朝鮮韓国在日観を尋ねるアンケートをしていますよね。何人くらいの学生が対象なのですか?
こうのすけ今年は三百数十人ですね。同志社で教えている「国際教養基礎論」では「これからの日本社会と朝鮮半島」をテーマにしていて、講義を受けている学生たちを対象に、第一回目の講義で、「朝鮮韓国在日について、知っているヒト・コト・モノや持っている印象など、いくつでも書いてください」という内容でアンケートを行っています。集計のことを考えて、メールで回答してもらっています。それこそ、みんないろいろなことを書いてくれて、すべての回答を集計し、コメントをところどころつけて、学生たちにフィードバックしています。その際に、これから詳しく学んでいくので、記述を鵜呑みにしないように注意しています。
この講義ではヘイトスピーチを柱に、日本軍「慰安婦」問題・朝鮮学校をとりまく問題について取り上げていますが、学生たちの反応は、「言葉は聞いたことあるけれど、中身はまったく知らない」という感じです。それまで一度も日本を疑わず、講義の半ばくらいまでは「先生は反日だ」「日本のことを悪く言ってる」「朝鮮の肩ばかり持っている」などという感想が来るのですが、関連のVTRをいろいろ見せたり、資料配って説明をしたりすると、「日本は結構ひどいことやっているね」と言って、少し態度が変わってきます。
在特会の主張しているような内容を書いてくる学生も、毎週書いてくるコメントを見ていると揺れていて。「全面的に講義での話を信じるわけではないけど、そういうこともあるかなと思った」というような感想をくれて、一応投げたボールはそれなりに受けてくれているかなと思います。
今年度は学期の中間で、日本軍「慰安婦」をテーマにした「平和の碑」を作ったキムソギョン・キムウンソさん夫妻のインタビュー記事(北原恵(二〇一二)「ハルモニ達とともに、日本大使館を見つめ続ける―ソウル「平和の碑」慰安婦像の制作者に聞く―」『インパクション』一八五号)に対するレポートを提出してもらいました。
学生たちは、あれは韓国政府がソウルの日本大使館の前にわざわざ置いて嫌がらせをしているという捉え方がほとんどでした。しかし、恵さんのインタビュー記事を読んで、あの像は日本を非難するために作られたものではなく、世界から戦時性暴力をなくすために、その象徴として作られ、像の隣に座ることで被害にあった人に思いをはせるという意図で作られたものなのだということを知った学生たちは驚きます。それでも中には「お金のためにやっているんだ」というような頓珍漢なことを書いてくる学生もいますけど。
学期末には、六月に施行されたヘイト対策法に関する師岡康子さん・武村二三夫さん・崔江以子さんのインタビュー記事(「ヘイト対策法の評価」『毎日新聞』七月一日付)をあらかじめ読んで、自分なりにまとめる課題を出し、最後の筆記試験として実施しました。学生たちは師岡さんや武村さんの考えにおおむね賛成で、ヘイトスピーチはだめだというだけで、自分はどうしようか、何ができるかという考察にまではいかないものでした。昨年度は「授業を受ける前と後で自分の中で変わったこと、変わらなかったこと」というテーマでやって、各自自分の中の変化を見つめなおしてくれましたが、今年はみなほぼ同じようなことしか書いていない。反発もしないしね。三百数十枚の答案を読むのはある意味苦痛でした。
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