〈続・東京中高美術部〉描く・創るを語る
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ヘッジホッグシューズ
コ・セナル
誰もが見て、えっ!? と思った作品を作りたい。その想いで作られたのが、ヘッジホッグシューズです。
いつものように美術部室で皆が輪になって、自分が作る作品を紹介する時、私はまだどんな作品を作るのか、考えていました。
絵を描くのか、立体にするのかすらも決まっていなかったのです。
ただとにかく派手にしたいのと、他の人が思ってないのを作りたいと頭の中で考えていました。
まず自分の中での「派手」と言うのは何だろうかと考えてみました。
色々あった。キラキラした物、とにかくでっかい物、他とは違う物、先端が尖っている物…考えてみれば数え切れないほどの「派手」が自分の頭の中にはありました。
次に他の人が思ってもいない物。
これも色々あったが、何故か「壁を歩く」と言うのが自分の中でピンときました。
そしてその二つの考えを合わせると、「壁を歩く派手」となりました。
自分でも意味が分からない。これじゃ駄目だと思いもっと深く考えてみました。
人が歩くには靴が必要…壁に引っ付くには尖っている物が必要…
その時頭に電球マークが付きました。尖っている靴を作ろうと、思いついたのです。
それを作れば壁も歩けそうだし、靴が尖っていれば派手だし…これにしようと決めました。
まずは靴の調達。これは後輩がもう使わない靴を貰いました。
次に尖っている物。
少し迷ったが、靴に釘を全般的に刺せばそれっぽいと思って実行しました。
しかし大変でした。靴の表面が思ってた以上に分厚かったのです。
そりゃそうか、人が身体の中で一番動く所に着ける生地が分厚くなかったら駄目だなー、と思いつつ、靴に釘を通す作業をやり続けました。
作業をしていると、靴の側面にマークがあり、とても分厚く釘を打っても刺せない位でした。
そして一ヶ月後、ついに靴の周りに釘を全体的に通しました。
約二〇〇本の釘が刺さった靴が出来上がったのです。
そして釘と靴の色を均一する為に銀のスプレーをそれに満遍なく塗りました。乾くのを待つ際に、この作品の名前を何にしようかと迷っていた所、先生がハリネズミに似ていると言っていたので、英語のヘッジホッグシューズになりました。
でもそれだけではあまりインパクトが無なかったのです。
ただ釘が刺さっている靴を見せてもあまり迫力が無いと思いました。
そして写真や動画を撮ったりしてヘッジホッグシューズの魅力を引き出しました。
実際にそれを履いて写真を撮りました。
しかし思った以上に靴がキツくてとても痛かったのです。
動画はただ撮るのは面白く無いので、ストップモーションムービーで動画を作って作品を出品しました。
作品はコンクールで金賞を取りました。
自分でも思ってもいない事でした。
この制作では作品を作成中に辛くなっても最後までやり切ると言う事を経験しました。
そして、この経験を次の作品にも活かせるようにこれから頑張っていきたいと思います。