資料・「朝鮮学校」支援が法に抵触する?
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イ・スンファン・民族和解協力国民協議会共同議長
民主平和統一諮問会議(民主平統)が九月一五日、ソウルプレスセンターで「在日朝鮮学校の教育発展方案」を主題にシンポジウムを開催した。
この討論会で民団団長を務めるオ・ゴンテ東京韓国学校理事長は「日本地域の民族教育は民団(在日大韓民国民団)系民族学校と朝鮮総連(在日本朝鮮人総連合会)系教育に分かれて、それぞれに実施されている」とし、「朝総連系教育では多くの問題点が明らかになっており、バランスの取れた教育のための対策が切実だ」というシンポジウムの趣旨を明らかにした。またパク・チャンボン民主平和統一事務局長は「朝鮮総連は北朝鮮の外にある北朝鮮として、北朝鮮の問題点と矛盾をそのままはらんでいるため、統一を準備するという観点から…朝総連系教育にどんな問題があるのか検討して、正していく方案を講じなければならない」と主張した。さらにこの討論会では、パク・トゥジンコリア国際問題研究所所長が主張した△日本国内の民主的民族教育の場の増加△精密な実態調査を通じた韓国国籍の生徒に対する対策準備△朝鮮学校改革を妨害する韓国の一部勢力に対する規制などを、事実上朝鮮学校に対する結論的対案として提起した。
今回の討論会は、韓国の保守政権が民主平和統一海外組織を前面に出して、事実上放置されてきた日本の民族教育問題に対して新しい関心を提起したという点で関心を持つだけのことはあるが、彼らの朝鮮学校と在日同胞民族教育問題に対する偏向した視線は憂慮に値する。
放置されてきた在日同胞民族教育
まず今回の討論会を事実上主催した在日民団は、朝鮮学校問題を提起する前に、まず日本国内の民族教育に対する責任ある役割を遂行できずに、事実上放置しておいたことに対する自らの省察と自己反省を優先すべきだ。
パク・トゥジン所長が認めるように、「在日同胞は、朝鮮学校以外に日本で民族の言語と文化を習うことができる機会がほとんどなく、(朝鮮学校の)『北朝鮮公民教育』に対する不満を持ちながらも朝鮮学校を選択するしかない」というのが、その間放置されてきた在日同胞の民族教育の現実だった。
なぜなら民団が運営する韓国学校は、教育費は途方もなく高く、数も少ないため韓国の裕福な家庭の子どもでなければ通えない。さらについこの間までは、ハングルや韓国語教育など民族的アイデンティティ教育はほとんど軽視してきた。 日本で私立教育機関として認められ、事実上日本の教育システムと同じ教育をする韓国学校が、日本国内の民族教育機関としての役割を果たせるはずがないのは明らかだ。
結局、朝鮮学校が日本国内の民族教育の一翼を担当してきたのは、韓国政府と民団の民族教育放置による避けられない結果であった。
この日討論会で紹介された日本国内の済州島高内里の出身者のコミュニティの事例は、非常に示唆的だ。 この高内里コミュニティは過去二〇年に渡って数こそ八〇〇人から六〇〇人に減ったが、毎年様々な行事を開催してコミュニティを維持している。この共同体維持の基底にある核心はまさに「民族教育」だった。 韓国政府と在日民団が民族教育を放置した期間に、かれら移住者は自らの努力で、他国で自分たちのアイデンティティを維持するために自分たちだけの民族教育を遂行してきたのだ。
また、この討論会では朝鮮学校を「在日朝鮮総連の北朝鮮公民教育機関」と規定して、事実上の韓国国籍者たちをこれから切り離す方案を探さなければならないといった主張が提起されたが、これは現実的でないだけでなく非常に危険な発想だ。
民族教育の生態系が拡張されなければならない理由
まず日本のあるニューカマーの韓国人就業者が生き生きと証言しているように、朝鮮学校が在日総連所属で、また一部カリキュラムが北朝鮮と同一なのは事実だが、そういう事実は実際の教育需要者には大きい意味をもたない。
「韓国では朝鮮学校を北朝鮮の支持勢力だと考えるが、この学校の生徒のうちの何パーセントが北朝鮮を支持しているだろうか? 学校の一部教育課程は北朝鮮の教育を受け入れているが、結局外に出れば日本社会だ。 判断は結局生徒たちがすることで、無条件受け入れる生徒たちはわずかだ。 結局、現在朝鮮学校の存在理由は、韓国語を学び在日同胞間のコミュニケーションを育てる場所だ」(ネイバーブログ、〓Donde hay voluntad hay camino!)
そして何より重要なのは上の引用文にも言及されているように、朝鮮学校は日本国内の民族教育の相当部分を担当しているだけでなく、同胞の疎通と和解の場としても重要な機能を果たしているという点だ。 このような疎通と和解の教育空間を人為的に排除して隔離することは正しい対策ではない。最小限他国では、同じ同胞同士が分断された祖国の対立と葛藤をそのまま繰り返すのではなく、朝鮮学校をはじめとする民族的アイデンティティを守って疎通する多様な教育生態系を維持していくように支援して奨励すべきだ。
朝鮮学校を高校無償化制度から排除するなど日本政府の不当な差別政策によってそうでなくても民族教育が崖っぷちに追いやられている状況で、韓国政府と民団によって朝鮮学校に対する韓国国籍者排除政策が推進されれば、日本国内の民族教育の生態系は事実上、枯死してしまうだろう。さらに嘆かわしいことは、韓国市民社会の朝鮮学校支援の動きに対して、これが「韓国法に抵触する疑惑があるだけでなく、朝鮮学校の民主的民族教育での改革を妨害するものだ」として、韓国当局の適切な対応を要求する主張だ。
韓国市民社会の朝鮮学校に対する関心は、何より民族教育を放置しておいたことに対する自己反省と省察に基づいて成り立っているという点を見誤ってはならない。これは、あるテレビ番組でユ・ジェソクが、日帝強制占領期間に強制徴用で連れられて来られたにもかかわらず、再び日本政府の強制退去命令によって追い出される憂き目にある朝鮮人の村「ウトロ」のおばあさんに「来るのが遅すぎました。申し訳ありません」と涙を流して許しを請うたその心が、韓国法に抵触すると脅しているのと同じことだ。
放置された民族教育に対する一歩遅れた省察と、私たちの中のヒューマニズム、そして日本政府の差別政策に対する抗議が、朝鮮学校支援運動の根本動機だ。これは法で裁く問題でもなく、政府が介入して妨害する問題でもない。人道主義的次元で北朝鮮の子供たちや学校を支援することに何の問題もないように、日本の朝鮮学校を支援することが問題になるはずがない。
(ソウル発「統一ニュース」9・22より転載)34